おそらく日本人だったら誰もが知っている「八ヶ岳」
登山をしていない人でも聞いたことはある、それぐらい有名な山域です。
今回はその中の阿弥陀岳についてご紹介します。
中には「阿弥陀岳?」となる人もいるでしょう。
確かに、八ヶ岳で一番検索されない山です。
ちなみに、一番検索されている山は赤岳、次は蓼科山です。
では、なぜ不人気な阿弥陀岳を選び、登り、紹介しているかというと
登山をしていて飽きない山だからです。
南八ヶ岳特有の苔むした世界から、ゴツゴツの岩道、徒渉(川を渡る)、岩登り、尾根歩きなど様々です。
私は同じ様な景色の山だと飽きてしまいます。
登りはまだいいのですが、特に下りが飽きてしまいます。
それがないのが阿弥陀岳です。
ヘルメットを着用しないと危ない道もありますが、それもアドレナリンがドバドバ出てきてきます。
とても楽しいです。
いつも樹林帯の道に飽きた人、スリリングな登山道を楽しみたい人におすすめです。
周回コースは約8~9時間です。
これから、写真も交えて具体的に説明します。
皆さんの山行の一助になれたら幸いです。
【注意】
登山は事前計画が大切です。事故なく楽しく登山をするために、体調面含め必要な登山用品を準備してから登りましょう。
イメージ動画
さくっと阿弥陀岳をイメージしたい方はこちらをご覧ください。阿弥陀岳の楽しさはわかるともいます。
約6分間の動画です。
ルート
今回は八ヶ岳山荘がある美濃戸口から登り、御小屋山経由で下山する周回コースです。
ピストンでもいいのですが、いろいろな景色や道を堪能したいという思いがありました。
では、具体的にルートについて説明します。
登山口から行者小屋へ
八ヶ岳山荘から美濃戸口はすぐそばにあります。看板があるのですぐわかると思います。
私の車は美濃戸口から赤岳山荘まで続く険しい山道を通る馬力と根性がないです。
どれぐらい険しい道かというとこんな感じです。
こんな感じです。
車で行く人もいれば、歩いて行く人もいます。
土日だと車も往来も多いので、事故に遭わないようにお互い気を付けましょう。
赤岳山荘まで来るまでいけたら約1時間の節約になりますが、そこは体力でカバーします。
美濃戸口からひたすら歩くこと約1時間。赤岳山荘に到着しました。
赤岳山荘の駐車場は土曜日の朝6時にはほぼ満車になっています。
同じ時間でも、平日や雨の日は比較的に空いています。
美濃戸山荘につきました。美濃戸山荘にも西瓜があります。
八ヶ岳の天然水でよく冷えた西瓜は最高でしょう。
同じルートで下山する方は食べて帰宅するのもありですね。
美濃戸山荘からいよいよ登山道らしくなります。
美濃戸山荘から北沢ルートと南沢ルートに分かれます。
北沢ルートは赤岳鉱泉へ続く道です。比較的緩やかな道です。近くに川が流れており、その横にある木道を歩く気持ちのいい道です。
ちなみに北沢ルートはこんな感じです。
一方、南沢ルートは行者小屋へ続く道です。北沢ルートと比べて岩がゴロゴロした歩きにくい道です。急な登りもありますが、北沢ルートよりも苔むした世界が広がります。
南沢ルートは行者小屋までずっと苔むした世界にいることができます。まるでジュラシックパークのような、異世界に迷い込んだようなそんな感覚です。
この後、いくつか急な登り坂がありますが、その後すぐに平坦な道になります。
北アルプスの三大急登の一つ燕岳を登りましたが、それを比べると楽勝です。
また、徒渉(川を渡る)する箇所がいくつもあり、これがまた楽しい。
北沢ルートは横を歩き川の大きさを感じますが、南沢ルートは自分が直接渡るので川と一体になれるそんな感じを覚えます。
このように徒渉を何度か繰り返し登っていきます。
しかし、雨の日は容易に氾濫すると思われます。登山道に雨が流れ込むと登山道がどこだかわからなくなります。
以前、赤岳鉱泉へいきました。雨が降っているときに通りましたが、登山道がどこだかわからなくなるぐらいに登山道が川と化していました。
その様子はこちらからご覧になれますので、よければどうぞ。
何度も徒渉を繰り返し、登り進めると開けた場所にでます。
ここは南沢ルートでよく取り上げられる有名な場所の一つだと思います。
下の写真の真ん中にぴょこんとみえるのが大同心です。
大同心とは、横岳と硫黄岳を結ぶ縦走路沿いにある岩峰の事です。
岩登りのバリエーションルートの一つです。
再び樹林帯に入った後、この後も似たような開けた場所が出てきます。
横岳と赤岳の稜線がみえてきました。
同じ広場でも違う風景がみえるのはいいですね。
ここまで来たら行者小屋まであと少しです。
煙の匂いがするなと思って顔を上げるとそこには行者小屋がみえました。
行者小屋までは約3時間程度で到着しました。
行者小屋からは横岳、赤岳、そして今日の目的地である阿弥陀岳が見えます。
小屋はおしゃれで雰囲気のある趣をしています。
外のトイレは清掃中で使用していませんが、こまめに清掃している事が伺えます。
なので、きっと綺麗だと思います。
中のトイレはもちろん綺麗でした。
行者小屋のキャラクターであるカモシーがお出迎えしてくれます。
きっと種族はカモシカなんでしょうけど、どうしても牛にみえてしまうのは私だけでしょうか?
こんな事言ったらカモシーに怒られてしまいますね。
すみません。
行者小屋はテント泊もできます。見通しもよく、遮るものがないので星空観察に適している山小屋です。
テント場も広く、テントを張り放題です。
阿弥陀岳に向けて~稜線まで~
さて、行者小屋で休憩をした後は、いよいよ阿弥陀岳へ向けて出発です。
行者小屋からは今までの登山道とは少し変ります。
まずは、樹林帯や苔が少なくなり見晴らしが良くなります。
なぜなら、少しずつ標高を上げているため森林限界に近づいているからです。登りも急になり、長くなります。
急な登りをひたすら登ります。
今まで1番長い上り坂かもしれません。
ここも岩ゴロゴロなので足場が悪いです。
岩と岩を乗り越えながら歩きます。
ストックを使っている人は岩の隙間にストックを挟まないように気を付けて下さい。
容易に折れます。
ひたすら登ると突然視界が広がります。
木々の背丈も段々低くなっています。ここから絶景ロードに突入していきます。
ただ、登れば登るほど硫黄岳、横岳、赤岳の稜線がくっきり見えます。素晴らしい景色です。
これも観たかった景色だったのでとても嬉しいですね。
さて、色々なYouTubeさんが阿弥陀岳を取り上げています。
そこで、「ここやばい」というカ所の一つに稜線直下の登り坂があります。
写真ではわかりづらいかもしれません。ここは斜度がきつい事に加えて、ザレザレの道です。
登って登っても足下が崩れてしまう道です。
一応ロープがあるので、それを補助に登り切るしかありません。
また、落石も多いので先行者や下りの方の落石に注意しましょう。
ここを登り切れば稜線も近いです。
稜線まであがると赤岳と阿弥陀岳がどーんと観る事ができます。
赤岳の雄大さと阿弥陀岳の険しさがよくわかります。
八ヶ岳の中で標高が一番高い山が赤岳です。1番高い山を隣の山から観るのもなかなかいいものです。
隣の山から観る事でどれほど偉大な山なのか、どれほど険しい山なのかを肌で感じる事が出来ます。
赤岳から中岳のつづら折りの登山道がくっきり観る事ができます。
それも格好いいです。
これは登らなければ、観る事も感じる事もできない景色ですね。
阿弥陀岳に向けて~鎖、岩場、梯子のオンパレード~
さて、ようやく今回の核心です。阿弥陀岳直下のアドベンチャー登山道。ヘルメット様着用です。
約30分と短い時間ですが、満足度の高い山道です。
なぜかというと、アドレナリンがMAXになる登山道だからです。
今までは苔むした異世界のような登山道でした。
むしろ、平和で景色をゆっくり楽しむ登山道でした。
しかし、これからは己の身体を存分に使い、危険と隣り合わせの道を歩くからです。
最初は岩場登りから始まります。安心して下さい。鎖があります。
こんな場所や
こんな場所まで。もはや、四つん這い。
色々あります。
この岩場が終ると、高度をとても感じる梯子が出てきます。
振り返ると、下に行者小屋がみえて高度を感じますが、とても楽しいです。
日常生活で、全身を使い岩場をよじ登る事はまずないでしょう。
その非現実的な行動がまたいいですね。
ここでも、振り返り赤岳を観ます。雄大だな、赤岳。
これも観たかった景色です。というか、これが目当てでした。
晴れて良かったです。
さて、この約30分の山道への感想は「意外に登れるな」でした。
確かに、岩場は脆く、落石も容易に起きます。
こことか、登るのは大変でした。
足をひっかける場所が高い位置にあるので、身長が小さい私にはよじ登るのが大変でした。
それでも、三条の湯の様な常に落石が起きている訳でもなく、北穂高と奥穂高間の様な足を踏み外したら100m真っ逆さまみたいな道ではありません。
慎重に登る必要はありますが、三点確保を心がければ登る事は可能です。
「私なんて無理」と思っている人はチャレンジしてみましょう。
山頂はお昼ご飯を食べている人、破線コースへ進むために準備している人など沢山いらっしゃいました。
山頂は広いので、思い思いに過ごすことが出来ます。
クッカーとバナー、コーヒーミルを持ってコーヒーを淹れてゆっくり赤岳を観るのも良いかもしれませんね。
御小屋山までの尾根歩き
さて、赤岳をこれでもかというぐらい観ました。
そろそろ下山をします。
このままピストンでもいいのですが、折角ですから御小屋山周回で降りようと思います。
さてさて、下ります。
下ってすぐに思った事は遠くの景色をみて思いました。
「なめていたな」
おいおい。なんだか、ザイル背負っている人が登っている登山道ってなんなん?って思いました。
断崖絶壁のような岩を登っていますよ。
梯子はありますが、大丈夫かなと一抹の不安を抱えながら進みます。
でも、近づいていけばなんてことはありませんでした。
登りましょう。登らないと帰れませんからね。
こんな道やあんな道を通ります。
そして、ようやく尾根取り付けに到着します。
いやはや、なんだあの道は!?って思いましたね。
でも、頑張りました。
さて、尾根下りをしていきます。
はい。このような道をひたすら下っていきます。
梯子もあり、ロープもあるので、三点確保で登れば、滑落の危険性はぐっと下がります。
しかし、ただの下り道と思わないで下さいね。
下りも岩ゴロゴロ、ザレザレです。
慎重に降りて約1時間。
やっと樹林帯に入ります。この樹林帯もなかなかのくせもの。
結構な急坂です。
これ、登りだと心が折れちゃうんではなかろうか?と思うほどです。
ひたすらに降りて行きます。
そして、やっと御小屋山に到着しました。
ここから登山口までは約1時間です。
いやーお疲れ様でした。
楽しかった。
ただ、ここが御小屋山登山口入口です。
初っぱなから迷子になりそうな感じですね。
どこが登山口かが全くわかりません。
ここが下山口でよかったなと思います。
駐車場とトイレ事情
さて、駐車場とトイレ情報です。今回の周回コースで最後のトイレは行者小屋でした。
【八ヶ岳山荘】
駐車場:800円
トイレ:あり
その他:温泉500円、駐車場利用者はコーヒー無料
【赤岳山荘】
駐車場:1000円
トイレ:あり
【美濃戸山荘】
駐車場:なし
トイレ:あり
その他:西瓜あり
【行者小屋】
トイレ:あり
宿泊:小屋泊、テント泊
登山ギア
ザック:ブラックダイヤモンド22L
夏で、ヘルメットを外付けにするならば、22Lぐらいで充分です。
余り大きい&重たいと岩登りに邪魔になります。
ベースレイヤー:ノースフェイスのエクスペディションドライドット
汗冷えを防ぎたい人はこのベースレイヤーが良いと思います。汗をかいている瞬間から乾いていきます。
パンツ:マムートのTrekkers 3.0 SO Pants AF
ストレッチが効いていて、どんなに足を上げてもストレスを感じません。
まとめ
今回は八ヶ岳の阿弥陀岳を紹介しました。
バリエーション豊かな山道で、最後まで飽きる事無く登り切ることが出来ました。
こういう山道は珍しいのではないかと思います。
周回コースという点も大きいですが、歩けば歩くほど景色が様変わりするそんな山です。
マイナーなんて言わせない。登らなきゃ損ですよ。是非、阿弥陀岳山行を計画してみてください。
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