ザックを変えることで、今よりも楽に登山ができる可能性があります。
登山後にこんな事を経験した事はありませんか。
「腰が痛いな」「肩がこったな」「なんだか疲れたな」という身体の至る所の悲鳴。
確かに、登山は身体全身を使いながら、山を登り、下ります。
主に使われる筋肉群は体幹の筋肉や大腿筋なので、下半身の筋肉痛が起こる事がありえます。
しかし、肩が痛い、腰が痛い、全身の疲れは山歩き以外に原因があります。
その原因の一つにザックです。
山行によってザックの重量は大きく変りますが、軽くて3kg、重くて15kgでしょうか。
この重量を軽く感じるも、より重く感じるのもザック次第です。
この理由はレバーの原理と慣性の法則で説明する事が可能です。
結論から言うと、身体の重心から荷物が離れれば離れるほど、重く感じます。
例えば、外国で頭に荷物を載せて運ぶのも、子供を抱っこするよりも肩車した方が楽なのも、自分の重心に寄せるから実際の重さよりも軽く感じからです。
同じ重量でも自分の重心から離れると一気に持てなくなります。
重たい荷物であればあるほど、自分の身体の重心に近く、そして骨で支える必要があります。
つまり、ザックが身体にフィットしていないと身体にめちゃくちゃ負担がかかるという事です。
そして、フィットしないザックは滑落や行動不動などの最悪なケースへと繋がる可能性があります。
このブログでは、ザックがフィットしないとどれほど身体に負担となるのか、おすすめのザック「オスプレー」がなぜいいのか、他社との比較などを説明していきます。
少しでも楽に登山ができるお手伝いができたら幸いです。
身体にフィットしないザックはどれほど危険なのか
結論からいうと、転倒や滑落、疲労により行動不能になる可能性があります。
ザックは軽くても3kg、重くて15kgや18kgほどあります。軽いといっても米袋ほどの重さがあります。
これほどの重量のある荷物を背負い、起伏の激しい山道を長時間歩きます。時には岩稜帯を歩く人もいるでしょう。
登山道って不安定ですよね。まっすぐ歩ける道は登山口付近のみです。
そのような不安定な道を歩けば、当然身体は全方向に動きます。不安定な岩に登れば傾き、下りの傾斜が辛ければ前に倒れそうになります。
この時に身体にフィットしていないザックだとどうなると思いますか。
転倒をします。
慣性の法則という言葉をご存じでしょうか。
物体が静止している場合は静止し続けようとし、動いている場合は動き続けようとする性質を示します。
この法則はニュートンの運動法則の一部であり、物体には運動状態を変える力が加わるまで、その状態を維持しようとする傾向があるとされています。
つまり、身体の重心から離れているザックを背負うと、その荷物は動き続けようとするため、遠心力も相まって身体のバランスを崩して転倒します。
また、レバーの原理という言葉をご存じでしょうか
物理学において、レバーの原理は力と距離の関係によるものです。力をかける位置や物体の重心との距離が変わると、必要な力の大きさが変わります。
つまり、物体を持ち上げる際には、適切な位置に力をかけることで、少ない力で効果的に持ち上げることができるのです。
という原理がレバーの原理です。
垂直に立っている状態での重心は、体の胸の付近から腰の少し上、およそ脊椎の第2腰椎(第2腰椎頚椎の間の位置)あたりに位置しています。
ザックが身体の重心にない事で特定の筋肉や関節に過度の負荷がかかり、筋肉疲労や関節痛が生じる可能性が高まります。
筋肉疲労は行動不能に陥る可能性があります。痛みは集中力を切らします。筋肉疲労や関節痛を甘く見ると遭難します。
また、大きな力を使うということはエネルギーも多く費やします。そのため、エネルギー不足になり行動不能のリスクも高まります。
アメリカスポーツ医学会(ACSM)によると、体重の不均衡はけがの原因となることが言われています。
これが、フィットしていないザックがもたらす危険性です。
数多あるザックメーカーの中で、なぜオスプレーなのか
身体の重心に近いと少ない力で持ち運べる、かつ身体の安定性が高まります。
つまり、身体にフィットしているザックは楽に登山ができるという事です。
それを追求しているのがオスプレーです。
「いやいや、他社も追求しているんじゃないですか」
という声が聞こえてきそうです。
確かに、最近のザックはフィット感を追求しています。
なぜならば、多くのメーカーで背面長の微調整システムを取り入れているからです。
オスプレーはもちろん、カリマーやグレゴリーもそれぞれ取り入れています。
背面長を少し説明します。
背面長とは背面の長さの事です。第七頸椎(あごを引いたときに首の裏で盛り上がる部分)から腰骨の末端までの長さです。
メーカーから背面長にてS/M/Lとザックのサイズが分かれています。なので、辺りをつけることができます。
次に、ザックの背面長サイズについて説明します。
ザックの背面長サイズとはザックのショルダーハーネスの付け根から腰ベルトまでの長さの事です。
ショルダーハーネス付け根から肩のトップまで約10cm位置しているとベストとされています。
ただ、これがぴったり合うザックに巡り会わない事がほとんどです。
そこで、微調整システムが活きてきます。
背面のパッドを 上下に移動させることで、ヒップベルトからショルダーハーネス幅を変更できるため、 身長や体格に合わせて確実にフィットすることが可能です。
この写真を見て下さい。
このようにかなり細かく調整をする事が出来ます。
ここまでは、カリマーやグレゴリーもで行われています。
しかし、ここからがオスプレーと他社との違いです。
オスプレーは他社よりもザックが背中に近くなるように作られています。これにより身体の重心へより近づきます。
先ほども伝えましたが、身体の重心に近づけば近づくほど小さな力で持てます。
つまり、軽く感じます。
実際、5kgの重りを入れて他社のザックとオスプレーのザックを比べましたが、全く違いました。
オスプレーは重さを感じないでいつまでも背負い続ける事ができました。
理想のザックは背負っている事を感じないザックだと思います。
その理想を極限まで追求したのがオスプレーです。
ただ一つ注意点があります。
オスプレーは背面にフィットするように作られています。
なので、背中の汗抜けがしにくいのは事実です。速乾素材を使用してますが、背中の汗は乾きにくいです。
しかし、他のザックでは背中の汗が乾くのかと言われると答えはNOです。
つまり、オスプレーも他社もザックを背負っていれば背中の汗は乾きにくいです。
疲労軽減のために、1時間に1回はザックを降ろして小休止をするように推奨されています。
なので、この時に背面の汗を乾かせばいいでしょう。
オスプレーのザックによって汗冷えした、低体温症になったなどの経験はありません。
これも、ザックが身体にフィットしている所以です。
これらが、オスプレーを勧める理由です。
オスプレーを特にお薦めしたい方は?
全員におすすめしたいですが、特におすすめしたい方は体力に自信がない女性の方です。
なぜなら、オスプレーのザックなら小さな力で重い荷物を運ぶ事ができるからです。
女性は男性に比べて筋肉量は少ないです。
おおよそ1~2割ほど女性の方が少ないです。
なので、同じ山行を歩く男女で比べると、女性の方が筋力を使い、エネルギーを使い、それ故に疲れやすいのです。
歩くだけでもエネルギーを使うので、それ以外の事にエネルギーを使わない方が、安全に登山を楽しめます。
なので、身体の重心に近い構造であり、かつ微調整システムがあるオスプレーをオススメします。
また、オスプレーは女性専用のザックがあります。
女性専用も男性専用では大きく変る事が二つあります。
一つ目は背面長サイズの違いです。
男性と女性では体格差があるため、背面長にも差が出ます。
男性、女性それぞれで背面長でザックサイズ(S/M/Lなど)が用意されているため、より自分の身体にあったザックに出会える可能性が高まります。
女性が男性用のザックを背負うとやはり大きいです。
背負うよりも背負われている感じがします。
二つ目はショルダーハーネスの形です。
男性と女性の身体は大きく違います。女性は胸の膨らみや腰回りが大きいなど男性にはない特徴があります。
特に胸の膨らみがやっかいです。
なぜなら、ショルダーハーネスが胸に干渉してしまうからです。
男性用のザックだと胸を考慮していないため、ダイレクトに胸にかかります。
しかし、女性専用のザックだと胸を回避した構造になっているため、窮屈感がなく身体にフィットします。
服でもそうじゃないですか?
男性用の服を着ると胸周りや腰回りが窮屈ですよね。それと似たような感覚です。
もちろん、男性にもおすすめです。オスプレーには男性用も用意されています。
以上、体力に自信のない女性に特におすすめしたいザック、それがオスプレーです。
このザックはタロンベロシティの女性用です。
軽くて、フィットして、動きやすいです。ヘルメットも収納できるので、岩稜帯に登る人にもお勧めできるザックです。
有名メーカーであるグレゴリーとの違い
グレゴリーもザックでは有名です。
バックパック専用の会社を1977年に創業しました。
快適な背負い心地、フィット感、耐久性、機能性を常に追求して、今もなお第一前線で活躍しているメーカーです。
確かに、グレゴリーもいいバックです。
背面長の微調整システムはもちろん、サイドポッケは大きく取り出しやすく、ザックの中身へのアクセスのしやすさなど汎用性に富んでいます。
女性専用もあり、メイブン、カルミア、ディバ、アンバーなど女性によりフィットするようザックを作られています。
それでも、私はオスプレーをおすすめします。
なぜならば、荷物が背面に近いのはグレゴリーよりもオスプレーだからです。
先ほど、5kgの荷物を背負いザックを比較したといいました。その比較対象のザックはグレゴリーです。
グレゴリーも背負いやすいですが、荷物を背負っている感覚はありました。一方、オスプレーは軽いというよりも、荷物の重さを感じなかったです。
そのため、オスプレーに軍配があがりました。
他にもグレゴリーのウィークポイントはあります。
一つ目はグレゴリーは背面長の微調整システムがマジックテープな所です。
オスプレーはストラップで固定する一方、グレゴリーはマジックテープで固定します。
単純にマジックテープが面倒くさいです。
まっすぐ固定できないし、ビリビリうるさい。そして、いつか消耗して固定力が弱くなりそうでした。
オスプレーはストラップでの調整になるので、耐久性は高いです。右下のストラップで背面長を微調整をします。
ちなみに、カリマーにもアジャストフィットシステムがありますが、ザック重量60Lからついているシステムです。
どのザック容量でも微調整システムがあるのがオスプレーです。
もう一つは、超個人的意見ですが、グレゴリーの色が趣向と合いませんでした。
明るい青や明るいグレーだったので、少し趣向と違いました。
オスプレーは黒があったので、こちらを選びました。黒は持っていなかったし、どんな服にも合いそうなので気に入っています。
オスプレーのウィークポイント
ずばり、背中にザックが近い事で汗抜けがしにくいところです。
身体の重心に近づけ小さな力で荷物を運ぶメリットでもあり、その一方で背中に荷物が近い事により風の通りにくいというウィークポイントもあります。
こちらはどちらを選ぶかにもよります。
身体の重心とか関係なく、とにかく背中の風通しを重視したい方は、グレゴリーをお薦めします。
しかし、疲れにくいザックが欲しい方はオスプレーをお薦めします。
先ほども言いましたが、登山は1時間に1回程度の休憩を推奨されています。
その理由は、エネルギー補給、水分補給(15分に1回一つ口程度の水分補給がベストです)、ザックによる圧迫を解除し身体の循環を促すためです。
なので、1時間1回ザックを下ろす機会があるので、背中の汗が長く停滞する事はないです。
汗冷えに不安がある方は、速乾性のベースレイヤーを着用すればいいと思います。
下記のブログでは、汗の臭いと共に速乾性についても調べました。興味ある方はご覧下さい。
速乾でお薦めはノースファイスのドライドットクルーです。この服の速乾性は群を抜いていますよ。
ただ、汗の臭いが気になります。
ノースフェイスほどではないけども、汗の臭いや汗冷え防止をしたいならば、アイスブレイカーをオススメします。
ザックの容量の考え方
登山は軽いが正義。
本当にそう思います。
なので、不要な物は持って行かないことが、疲労軽減につながります。
そこで、ザックの容量についての考え方をお伝えします。
まずは、日帰りか泊まりかで分かれます。
日帰り登山ならば、正直20Lもあれば充分です。
中身は行動食、水、レインウエア、ミドルレイヤー、ライト、救急セットなどでしょう。
ここに三脚や調理器具などお楽しみグッツを入れると30L合った方がいいでしょう。
次に泊まり登山かつ小屋泊の場合、38Lあれば充分です。
中身は、日帰り登山の中身に加えて、着替え、洗面用具などです。冬だとここに防寒着が含まれるため、40~45Lあると余裕を持って詰める事ができます。
アイゼンやピッケルがある場合は45Lは必要になります。
日帰り登山、山小屋泊、テント泊、季節、天気で登山装備は変わってきます。
山行スタイルや天気に合わせて不要な物は持たず、適切なザック重量で登山を楽しみましょう。
詳しくはこちらのブログをご覧ください。
日帰り登山&春夏:20L
日帰り登山&春夏&お楽しみグッツ入り:30L
日帰り登山&秋冬:30L
泊まり登山(小屋泊)&春夏:38L
泊まり登山(小屋泊)&秋冬:40~45L
泊まり登山(テント泊)&春夏:48L
泊まり登山(テント泊)&秋冬:60L
まとめ
いかがでしたか。
たかがザック、されどザック。
少しでも疲れにくいザックを選び、少しでも楽に登山を楽しんで欲しいです。
ザックが身体にフィットしているかどうかで身体が感じる重さは全く異なります。
是非、自分にあったザックを背負い楽しい登山をしてください。
では、また。
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