三段紅葉を楽しめる山は涸沢だけではありません。
そう。唐松岳も負けてはいません。むしろ、唐松岳は涸沢にない魅力が沢山あります。
今回、その魅力をお伝えします。
涸沢にはない、唐松岳の魅力。その一つ目は、三段紅葉でもピークハントができる所です。
そもそも、三段紅葉とは、山頂に冠雪し、山の中腹は紅葉、山麓は緑と三色に彩られた景色を指します。
涸沢の三段紅葉とは、奥穂高に冠雪し、ザイテングラードが紅葉、涸沢ヒュッテ付近は緑多めの状態です。
このダイナミックな季節の移り変わりは心を奪われますが、その代わりに山頂アタックできる人は限られているでしょう。
冠雪しているという事は、当然、登山道は雪です。
初雪は湿っている事が多いです。気温もそこまで低くないので、みぞれになる事も多いです。
そのため、身体に雪がまとわりつくので、身体を冷やします。また、通気性も低下するため、汗抜きが低下かつみぞれによって汗が冷やされ、低体温症になります。
つまり、冠雪時期のピークハントは難易度が高いと言うことです。
その点、唐松岳の三段紅葉は冠雪した白馬岳(白馬三山)と山中腹の紅葉、山麓の緑を同時に観るので、唐松岳のピークハントは可能です。
白馬岳はより日本海側に位置しているので、北アルプスでも早く雪が積もります。
なので、唐松岳のピークハントをしつつ、白馬三山の冠雪と天狗の頭中腹の紅葉を楽しむ事ができます。
次の魅力は、樹林帯がないので最初から最後まで眺望が楽しめます。
これは結構大きい魅力だと思います。
アルプスの山々は稜線に出るまでの樹林帯が多い。山なので、森林限界に出るまで林を歩く事は必然です。
でも、それが辛い。
例えば、蝶ヶ岳。山行のほとんどは樹林帯です。稜線の景色が100点満点だから耐えられますが、山行9割樹林帯とか苦行ですね。
涸沢も
上高地から焼岳や屏風岳、穂高連峰が見渡せる絶景がありますが、長い長い林道のため眺望が楽しめるのはSガレからです。
それまでひたすら登るのは辛いものがあります。
唐松岳はそれがありません。9割が開けた山道です。
黒菱駐車場から観る紅葉、八方池のリフレクション、登山道から観る白馬三山、不帰ノ嶮、五竜岳。山頂から観る剱岳などを観る事ができます。
涸沢には涸沢の良さはあります。しかし、これらは涸沢にはないでしょう。
なので、最初から最後まで白馬岳や五竜岳を観ながら登れる唐松岳は素晴らしい山です。
極めつけは、これを日帰りで体験できる所です。
涸沢の三段紅葉を楽しむには日帰りでは難しいでしょう。なぜなら、涸沢まで約6時間かかります。下山を含めて12時間はかかるため、帰りのバスには間に合わないです。
なので、泊まりが必須です。
折角の土日休みに大渋滞する涸沢に行くのはちょっと・・・という方はいると思います。
そういう方には日帰りでも三段紅葉を眺めつつ、ピークハントもでき、加えて日本百名山11座を眺められるという超贅沢登山ができる唐松岳がおすすめです。
唐松岳には唐松岳の魅力が沢山あります。涸沢の紅葉渋滞を避けたいと思っている方は是非、唐松岳に足を運ばれてはいかがでしょうか?
これからは、登山道ルートと合わせて、唐松岳の魅力をお伝えしていきます。登山計画の一助になれば幸いです。
【注意】
登山は事前計画が大切です。事故なく楽しく登山をするために、体調面含め必要な登山用品を準備してから登りましょう。
イメージ動画
唐松岳の魅力や山道をサクッとイメージしたい方はこちらをご覧下さい。きっと登りたくなります。
黒菱駐車場から八方池山荘
黒菱駐車場に行くには、黒菱林道を上っていきます。林道と名が付いていますが、ガードレールがないだけで、サイドは開けています。
なので、眺望がとてもいいです。朝は雲海と日の出を楽しめるビュースポットです。
中には自転車でここを通る方もいるそうです。それぐらい絶景ロードとなっています。
ただ、開通している日が決まっています。
例年、7月から10月末まで開通しており、それ以外は閉鎖しています。また、雨量によっても閉鎖するようです。
今回は10月12日なのでギリギリ間に合いました。
つづら折りの林道を20分ぐらい上ると黒菱駐車場に到着します。
黒菱駐車場は約200台が停める事ができます。トイレも黒菱ヒュッテさんが開放してくれているので車中泊もできます。
今回、私は朝5時半に到着しました。すでに約50台が停まっていましたが、余裕で停め放題でした。
黒菱リフトは平日8時半、休日5時から運行しています。詳しくは白馬八方HPをご覧下さい。https://www.happo-one.jp/trekking/kurobishi/
私は平日に登ったので、リフトを待っていると帰りが遅くなるので、作業道から登りました。
黒菱リフトの下にはスタッフさんが使う作業道があります。そこを使わせていただきました。
ここの作業道は凹凸もないコンクリートの車道ですが、斜度がきつく、朝一から登るには過酷な道でした。
脹脛がどうにかなるかと思いました。
ただ、振り返れば雲海と日の出が楽しめます。
約20分で登り終える事ができます。
次は、グラートクワットリフトの下から八方池まで続く八方尾根自然研究路を歩いて行きます。
ここがまたいい!!
朝日に照らされた白馬三山や紅葉が一段と存在感を光らせています。目を奪われてしまい、先に勧めません。
朝日に紅葉が照らされて、キラキラ。雲海も朝日に照らされてキラキラ。もう最高ですね。ここでも満足です。
どこもかしこもキラキラです。
ここの道は岩ゴロですが、そこまで歩きにくくはないです。浮き石もないので、トレッキングにはちょうど良い道です。
ただ、朝は霜が降りているので、滑らないように気を付けて登りましょう。木道とか特につるつるです。
約60分かかりますが、八方池山荘に到着です。
朝から登りが続きましたが、アクティブインシュレーションを着て正解でした。
汗をかきますが、通気性が良いので汗冷えがありません。しかし、保温性もあるので朝の肌寒い気温に対応できます。
面倒くさいレイヤリングをしなくていいので、私はアクティブインシュレーションはありだと思います。
山頂までアクティブインシュレーションを着続けましたが、「あー蒸れる!脱ぎたい」とはなりませんでした。
楽・簡単なレイヤリングを実現できるのは、アクティブインシュレーションですね。
夏以外はレイヤリングが必須の登山。悩ましい、面倒くさいレイヤリングを解決する保温着についてこちらが参考になると思います。
八方池までの尾根道と木道
八方池山荘から尾根道と木道を選べる事が出来ます。
尾根道は白馬三山や天狗の頭を観ながら登れる道です。ただ、ここの道は岩も大きいので、危険を伴います。
足を大きく上げて、よいしょっと登らないと行けない箇所もあります。
途中には木道も出てきますが、足場も悪い中、急登部分もあるので、足腰が不安な方には、木道ルートをおすすめします。
一方、木道は五竜岳や鹿島槍を眺めながら歩く道です。トラバース道が気持ちよさそうですね。
木道と謳っているだけあり、ほぼ木道です。
尾根道と比べて足を大きく上げる箇所は少ないです。そして、浮いている石も少ないので、転倒するリスクも尾根道よりも低いです。
ただ、朝露に濡れていると木道は滑りやすいので気を付けた方がいいです。
ただ、歩きやすい故、人も多くなりがちです。
左側通行を指示されている道もあるので、追い越せない可能性もあります。
早く進みたい方は木道よりも尾根道を進んだ方が良いでしょう。
どちらも八方池山荘から八方池と山道の分岐まで約200mの標高を登ります。木道にもこんな道があります。
なので、どちらも大変です。少しでも、楽に登りたい方は木道ルート。白馬三山が観たい方は尾根コースをおすすめします。
どちらの登山道にせよ、歩きやすい靴や服装で登りましょう。
今回、私は木道で行きました。
理由は気持ちよさそうなトラバース道だったからです。
尾根道は帰りに通る事にしました。行きと帰りで違う道を選べるのはいいですよね。
上記写真の小屋付近で尾根ルートと合流します。
合流後、息(やすむ)ケルンと八方ケルンを通過していきますが、ここの道も結構なゴロ岩道です。
こんな道や
こんな道を上ります。
歩きやすそうですが、浮き石もあります。木道もしくは尾根道を歩いてきたので、足も疲れています。
転倒に注意しましょう。
八方池への看板がみえ、この長い長い木道を下ったら八方池に到着します。
八方池の魅力
冒頭でも書きましたが、なんと言っても白馬三山含めた山のリフレクションです。
これは幻想的です。
これを観るために訪れる方も多いです。
八方池は八方池山荘から坂道を1時間歩きます。それだけ価値のある景色を観ることができます。
雄々しい白馬三山の山々に雲が良いアクセントにあり、幻想的な景色を創り上げます。秋は季節の移り変わりをより鮮明に魅せてくれます。
行楽の秋にはぴったりの場所かも知れません。
八方池から丸山ケルン
さて、八方池のリフレクションを楽しんだ後はいよいよ山頂に向って再出発します。
ここから一度ぐっと登ります。
今までの道よりも更に浮き石が出てきます。今までの道とは違い、少しワイルドになってきます。
なので、少しずつアドレナリンが出てきます。登山モードに切り替えていきましょう。
ここの岩場を少し歩くと本日唯一と言える樹林帯に入ります。一瞬で終りますけどね。
5分ぐらいで通過できますので、登山道の良いアクセントになります。
樹林帯を通過するとすぐに開けた場所にでます。あれが山頂なのか?と思わせますが、いえいえ。ここでは唐松岳山頂はみえません。
いくつもの偽ピークを越えながらやっーと唐松岳山頂が見えてきます。なので、気長に景色を楽しみながら登りましょう。
ここの急登を登り、途中で後ろを振り返るとそこには八方池がみえます。
こうみるといくつもの尾根を乗り越えて進んでいくことがよくわかります。
浮き石を避けながら登り続けます。少し登るとトラバース道にでます。
ここも絶景です。
少し登っただけで、このような景色を魅せてくれる唐松岳は素晴らしいです。飽きない山No1かもしれません。
でも、どれも唐松岳ピークではありません。偽ピークです。ゴールがどこ?というループには陥りますね。
道の左側には五竜岳がみえるはずなのですが、今のところガスっていてみえません。地元の方曰く、朝の8時ぐらいはガスりやすいみたいです。
その後はガスが抜けるとおっしゃていたので、ガスが抜けた五竜岳に会えることを楽しみしています。
トラバース道は歩きやすい道です。ただ、緩やかに登りが続くので足にきます。
岩場だとその一瞬は辛いですが、一気に標高をあげる事が出来るので、楽です。身体全身で登るので、負担が分散されます。
なので、このゆるふわ登山道は辛いですね。足にきます。
しばらく歩くと扇雪渓に到着しました。例年よりも雪は少なそうです。
本来なら扇の様に広い範囲で雪が残り、夏でも涼を感じる事ができます。
しかし、2023年は例年にない水不足でした。雪が少ないかつ気温の高さが要因です。今後、今まで観れていた景色が観られない可能性があります。
それならば、登れるときに登っておいた方がいいなと思いました。
このような道を上ると更に開けた場所にでます。
みえるぽっこりした山が丸山です。あと少しで八方池から山頂までの中間地点に到着します。
この整った階段を上りきるとそこが丸山です。
丸山に到着です。行きに丸山の写真を撮り忘れてしまいました。この写真は帰りです。なので、この人の多さはお昼過ぎの状態です。
朝は一人か二人ぐらいでした。
ここまで登ると山がとても近くになります。かっこいいですね。
恐らく、不帰ノ嶮や天狗ノ頭だと思われます。
簡単に登る事が出来ない難関コースだからこそ魅せる山容ですね。観れただけでも嬉しいですね。
丸山を過ぎるとずっと絶景が広がっているので、足が進まない進まない。
写真スポットが沢山あるので困ったものです。
丸山ケルンから唐松岳頂上山荘
丸山ケルンから少し歩いて行き振り返ると、もう丸山ケルンがあんなに小さくなっています。
絶景を観ながら登るとあっという間ですね。
楽しく登る事が出来ます。
そして、ついに唐松岳山頂を捉えました。写真の右側のピークです。
やっとゴールを観る事が出来ました。嬉しい反面、山頂までの登り返しの大変さが今からわかってしまい息切れ・動機が激しくなります。
そういう時は絶景に癒やされるしかありません。現実逃避。
トラバース道を歩き緩やかに標高を上げていきます。確かに、左に切れ落ちて足幅も狭いですが、歩きやすいです。
よっぽど足を躓き転倒しなければ滑落はしないです。
そうこうしていたら、五竜岳がみえてきました。
ガスがいいアクセントになっております。こういう景色が観たくてはるばるやってきました。
ありがたいですね。
さて、そろそろ核心部分に参りました。
唐松岳山頂までの道は細く、険しい道になっています。これを乗り越えても更に向こう側があります。
ロープはありますが、使わなくても登れます。一歩ずつ確実に登りましょう。
ここを登ると唐松岳頂上山頂までの最後の登りがでてきます。
高所恐怖症の方が登っていましたが、梯子の部分がとても怖いとおっしゃっていました。写真だとわかりにくいと思うので、是非動画をご覧下さい。
雪が積もっている道もあります。アイゼンは不要ですが、容易に滑るので気を付けて登りましょう。
厳冬期や残雪期はこの辺りが核心部になりそうですね。
さあ、ここを登り切ると大パノラマがお出迎えです。
唐松岳山頂までの道
唐松岳頂上山頂のヘリポートは360度見渡せます。
目の前には唐松岳、右には白馬三山、不帰ノ嶮、天狗の頭。左の遠くに剱岳、立山。左手前には五竜岳、鹿島槍などの北アルプスのスターを眺める事が出来ます。
後ろはガスでわかりませんでしたが、恐らく八ヶ岳などがあるはずです。
日本百名山11座を観る事ができる唐松岳。圧巻の景色です。
では、登って行きましょう。
唐松岳山頂に立つには、一度下って登る必要があります。気合いを入れて頑張りましょう。
最初はこのように岩も少なく、歩きやすい道です。
登って行くと結構険しくなり、岩も大きくなります。岩を登り一気に標高を上げていきます。本当にあと少しです。
ようやく看板が見えてました。
山頂に到着しました。
もう絶景です。是非、登ってご自身で感じて欲しいです。
何分ぐらいいたでしょうか?30分ぐらい写真や動画を撮っていました。
何分、何時間いても飽きない景色です。ずっと観ていたかったです。実際、座って観ていたハイカーさんもいらっしゃいました。
それぐらい、足を引き留め、心を惹きつけるモノがありました。
30分山頂にいて、風も吹いていましたが、パタゴニアのナノエアで寒くなかったです。
もう少し寒ければハードシェルを着て風を遮断すれば問題ないです。
フリースでもいいですが、フリースで最初から最後までは登れなかったでしょう。それは蒸れて暑いと感じたからです。
通気性と保温性という本来相容れない機能を実現し、面倒くさいレイヤリングをせず、これ一本で最初から最後まで登れます。
唐松岳を思う存分楽しめたのも、よい登山ギアのおかげです。
今回の山行でも、アクティブインシュレーションユーザーは沢山いらっしゃいました。特に、ミレーのアクティブインシュレーションが多かったですね。
私の推しは変わらずパタゴニアのナノエアです。
まとめ
いかがでしたか。唐松岳の魅力は伝わりましたか。
唐松岳は日帰り登山にも、観光にもいい山です。
初心者の方でもチャレンジしやすい山になっています。
三段紅葉を間近で観たい、絶景が観たい、稜線ある気がしたい方には最適だと思います。
秋の紅葉だけではなく、春夏秋冬楽しめる山です。
是非、北アルプスの唐松岳に出かけてみてはいかがですか。
では、また会いましょう。
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