北八ヶ岳の周回ルートをご存じでしょうか。
白駒池からニュウへ進み、中山・高見石小屋・丸山と登り、麦草峠へ下山するルートです。
ピストンとは違い周回ルートは歩いたことのない道を歩けるのがメリットです。
デメリットは尾根道や稜線を歩くため、アップダウンが多いところです。
この北八ヶ岳の周回ルートもニュウ、中山、丸山と3つのピークを取りに行くルートなので、アップダウンは多いです。
中でも、中山までの道がかなり大変です。
ただし、大変な事ばかりではありません。
麦草峠の草がなびく大草原、透明度の高い白駒池と美しい苔の絨毯、突然現れる白駒の奥庭、猛々しいニュウと大パノラマの中山。そして、高見石小屋の絶品揚げパン。
歩けば歩くほど、景色が変わり、その度にテンションがあがります。
この景色を是非とも観て欲しい一方、体力面の対策をして欲しいです。
一長一短で体力を向上する事は難しいです。
しかし、ある登山グッツを使えば、体力が心配な方でも完走する事ができます。
それは「トレッキングポール」です。
「自分にはまだ早い」と思っている方は騙されたと思って使ってください。
要はトレッキングポールを使う事で、2足歩行から4足歩行になれます。
2足よりも4足は体重が分散されます。
感覚的に楽になりそうですよね。
疲れずに北八ヶ岳周回ルートを楽しんで欲しい。
そこで、北八ヶ岳の周回ルートを伝えつつ、トレッキングポールの良さをお伝えします。
【注意】
登山は事前計画が大切です。事故なく楽しく登山をするために、体調面含め必要な登山用品を準備してから登りましょう。
トレッキングポールの良さ
シナノは創業100年以上の日本企業です。
日本人の体型を研究し続け、日本人にあった杖を開発しています
杖やポールに関してプロ中のプロです。
という、安心がベースにありました。
使いやすくて、そこそこ軽くて、そこそこ安い。そんな都合のいいポールを探していたらシナノさんにありました。
シナノのロングトレイルは伸縮タイプです。留め具でパチンっと固定すれば長さを調整できます。
中にはくるくると留め具を緩めて長さを調整する伸縮タイプがあります。
これはかなり面倒くさい。
カメラの三脚もくるくる留め具を回すタイプと留め具をパチンと固定するタイプを持っていますが、圧倒的にパチン留め具タイプは楽です。
厚手の手袋をつけていてもやりやすいです。
というわけで、くるくる留め具タイプのトレッキングポールは除外されます。
次は重量です。
材質はアルミ、カーボンの二つが主流です。
アルミになれば重いけど、値段は安い。
カーボンは軽いけど、値段は高い。
その間が欲しかったです。
ロングトレイルは超軽量アルミなので、重さも値段もちょうど真ん中の商品です。
手が出しやすく、重さも扱いやすい。
このような理由で「シナノのロングトレイル」を選びました。
初めての一本におすすめです。
私の身長は155cmです。シナノのロングトレイルの115がちょうど良いサイズです。サイズ選びの参考にしてください。
素材:アルミorカーボン
スタイル:くるくる留め具orパチン留め具or折りたたみ式
コスト:アルミ(安い)orカーボン(高い)
強度:折りたたみ式(劣る)orアルミ(やや劣る)orカーボン(強い)
重さ:カーボン(軽い)orアルミ(重い)、くるくる留め具(軽い)orパチン留め具(重い)
使いやすさ:パチン留め具一択
イメージ動画
麦草峠から白駒池を経由してニュウ、中山、高見石小屋を行く周回コースをサクッとイメージしたい方はこちらをご覧下さい。
ルート概要
今回は麦草峠公共駐車場に車をとめて、そこから登山を開始しました。
麦草峠から林道に歩く道と道路を歩く道の二つがありますが、私は車にひかれたくないので林道を選択しました。
白駒池、ニュウ、中山、高見石小屋、丸山を経て麦草峠に帰ってきます。
コースタイムは約5時間です。
歩行距離9.6km、登りの標高は630mと数字だけ見れば楽かなと思いますが、そうでもありません。
こちらの標高グラフをご覧下さい。
結構、アップダウンがある事がわかります。
このアップダウンが心をへし折ってきます。
一方、猿倉山荘から登るコースタイム11時間、標高1700mですが、アップダウンがほとんどありません。
雪渓歩き、アイゼンさばき、1700mの標高差など色々大変な面はありましたが、気持ち的には白馬岳の方が楽でした。
要は気持ちなのかも知れません。
しかし、登りと下りはそれぞれ違う筋肉を使います。
特に下りは普段使わない筋肉の動きをする、かつ下りの衝撃力が身体へかかるので疲れます。
理論上、登りは心肺機能に合わせてゆっくり歩けば疲れません。
なので、標高600mの北八ヶ岳周回ルートでも、標高差1700mがある白馬岳よりも疲れたのだと思います。
なので、少しでも疲れずに、山の景色を楽しみたい方は是非トレッキングポールを使ってください。
ルート詳細
これから今回の周回ルートを解説します。
写真も多く使用してイメージが付きやすいように解説しますので、ご覧下さい。
麦草峠から白駒池:快適なハイキングコース
麦草峠公共駐車場から登り初めました。
すでに木道がひかれています。
夏の北八ヶ岳は緑も濃く、この時点でもマイナスイオンを感じられる雰囲気があります。
5分も歩けば麦草ヒュッテが出迎えてくれます。
ここの大草原がまた日本ではないような大絶景です。
草原が風で揺れる風景は北欧の様な雰囲気を感じます。
時期は少しずれていますが、所々に小さな花が咲いていて癒やされます。
麦草峠の大草原を登り、白駒池方面へ進みます。
道路を歩いても行けますが、車の往来もあるので、林道を選択しました。
そして、折角、八ヶ岳にきたので少しでも山の中にいたいなと思いました。
ここの道は少し岩がゴロゴロしていますが、そこまで歩きにくい訳ではありません。
岩は雨で濡れると滑りやすくなるので、思わぬ転倒に気を付けましょう。
この辺りから、八ヶ岳の本気、苔の森を楽しめます。
八ヶ岳は日本の1/4ほどの苔の種類が生息しているそうです。
数字にすると500種類。
何回も八ヶ岳を訪れていますが、5種類ぐらいしかわかりません。
残りの495種類はどこにいるのかなといつも思って歩いています。
さて、そこまで岩場が続きません。
少し歩くと木道が出てきます。
本当によく整備されています。
この木道を歩くと白駒の奥庭という、空がぽっかり空いた場所にでます。
なんとも不思議な空間です。
今まで上にあった木々はなくなり、ぽっかり空が開けます。
それ以外は、木々が生い茂る森です。
なんでも火山活動によって溶岩が流れ出し、その上に苔や植物が生育することで形成されたために、このような場所ができたと言われています。
素敵な場所です。
ここを過ぎるとよく見る、白駒池有料駐車場から登る登山口に出てきます。
ここの登山口はとても雰囲気がよく、インスタ映えします。
訪れた際は、是非立ち寄ってださい。
白駒池は観光地としても発達しています。
なので、ハイキングコースとしてとてもよく整備されています。
歩きやすく、アップダウンも少ないです。
八ヶ岳の苔や雰囲気を楽しめる良い場所でしょう。
ニュウまでのいいアップです。
ニュウに行く前に青苔荘によって行きます。
理由は、テント場を見てみたかったからです。
八ヶ岳の中で登山口から一番近いテント場のある山荘です。
雨の中でもテント泊をしたくなるときがあります。
来る時のために、下見をしたかったのです。
テント場は木の板があるので、テントが張りやすそうです。
雨でも大丈夫そうです。
青池荘からも白駒池を眺める事ができます。
景色的に白駒荘の方が映えますが、青池荘もいい山荘です。
では、白駒池を半周してニュウへ登りましょう。
白駒池からニュウ:一気に登る
「これからは登山道です。登山装備がない方は登らないでください」
そんな看板があったような無かった様な記憶がありませんが、ここからは歴とした登山道になります。
登山道の最初から木道が用意されていますが、斜度もあるので濡れていると滑りやすいです。
そこを登ると今までとは違う雰囲気の道になります。
岩は大きく、倒木もあり、歩きにくくなります。
前日に雨も降っているので、登山道は池になり歩くのに躊躇するような道になっています。
倒木や岩があって逆に助かる場面もありました。
そんな道に悪戦苦闘しながら進むと、またしても不思議な場所に出ました。
そこは白駒湿原です。
白駒の奥庭とは違い、神秘的な雰囲気を感じます。
ジブリの獅子神様が出てきそうな雰囲気がありました。
そこを通り過ぎると、またしても登山道が池と化していました。
まだ序盤です。
ここで靴下まで濡れるとこの先が大変になるので、倒木を橋代わりにして、濡れないようになんとか渡り切ります。
今回の山行は池ポチャしないように必死でした。
でも、池ポチャの恐怖に勝る素晴らしい苔の森を堪能できます。
ここでは、何苔が多いなどと看板が出ているので、有りがたいですね。
図鑑などを片手にじっくり観たら面白いかも知れません。
なだらかな道だったり、少し登りが出てきたり、緩急の登山道を歩くと、ニュウと稲子湯へ進む分岐にきました。
ここからも稲子湯へ行ける事を初めて知りました。
八ヶ岳は繋がっていますね。
同じ山でも季節やルートを変えるだけで何回でも楽しめます。
さて、ここから約150m登るとニュウに到着します。
山頂までは登りが続き、大きな岩もありますが、歩きやすい道を見分けながら歩くと疲労せず登れます。
一歩が大きいと心拍数があがるので、疲れます。
一歩は小さく、息が切れない程度に歩くとトータル短い時間で歩く事ができます。
さて、木々が少なくなり、上から太陽の光が見えてきたらそろそろニュウに到着です。
刈り取り後の稲を円柱形や円錐形に積み上げる稲わらに似ており、稲わらは「にう」と良い、それが訛って「ニュウ」となったとか。
ニュウへ登ろうとしたとき、風速が強く身体が飛ばされそうになるほどでした。
登れるところまで登ってみます。
登り進めると、下には白駒池を見付けました。
あんな下にあります。
白駒池も溶岩によって出来た窪みのようです。
そこに、長い年月をかけて今の透明度高い素晴らしい池になったようです。
山頂に近付くと、北アルプスや富士山、南八ヶ岳などを眺める事ができます。
もう少しゆっくり眺めたかったのですが、風が強く下手したら滑落しそうなので、撤退しました。
噂で聞いていた「ニュウ」に来れてよかったです。
残念ながらどこが稲わらなのかはわかりませんでした。
次は中山展望台へ向けて歩みを進めます。
ニュウから中山:思っている以上のアップダウン
ニュウと中山の標高差はおおよそ150mです。
ニュウから下って、登って、下って、中山に向ってぐっと登ります。
これらのアップダウンが身体にはきます。
では、詳しく観ていきましょう。
中山へ向けて最初に尾根道を歩くために、登ります。
ここの片側から景色が観られるので、尾根道を歩いているなと感じられる素敵な場所です。
ここをしばらく歩くと、登りが待っています。
後から振り返ると、ここの登りはたいしたことがないのですが、登山中盤になると一気にダメージがきます。
登り最中に、南八ヶ岳の硫黄岳を眺める事ができます。
硫黄岳の爆裂火口を観る事ができます。
硫黄岳に登るとこの爆裂火口を観る事ができないです。
なので、爆裂火口全貌を観たい方には北八ヶ岳から観るのをオススメします。
赤岳の稜線からも見えますが、まるっと観たいときは北八ヶ岳がいいです。
中山峠まで行くと爆裂火口がもっとよく観られます。
平坦な場所が出てきて、下り坂になるといよいよ、中山への登りが始まります。
この辺りでは、高見石小屋の揚げパンのことしか考えられなくなっています。
登りを頑張り、「中山峠」という看板が出てきたらもう大丈夫です。
楽しい登山道が待っています。
先ほどお伝えした、硫黄岳の爆裂火口も観る事ができます。
平坦な道と木道が続いているので、景色を観る余裕が出てきます。
白樺の白と苔の緑、空の青がいい景色を創り出してくれます。
日差しもキラキラして緑が眩しいです。
さて、木々も減ると、視界が開けた場所にでます。
中山展望台に到着です。
ここはアルプスと八ヶ岳を大パノラマで堪能できる素晴らしい場所です。
多くの方はここでお昼にするようですが、私は高見石小屋で揚げパンを食べるというミッションがあるので、ここでお昼は食べません。
景色を堪能して、先を急ぎます。
中山から高見石小屋:待ちに待った揚げパン
中山から高見石小屋までは約200m下山します。
ここまでアップダウンの登山道を歩き疲労しています。
下山は普段使わない筋肉の動きをするので、疲労が溜まりやすいです。
また、大きな段差を下ると数倍の力が足にかかるので、それも疲労の原因となります。
一歩一歩小さく確実に下山をしていきます。
今までと同じような岩と苔と木の道になります。
こういう下山時こそ、トレッキングポールは威力を発揮します。
足への衝撃が緩和されることで、筋疲労が少なく済みます。
今回、私は持参しませんでしたが、こんなに疲れるなら使っても良かったかなと思っています。
こうならないためにも、持っている人は使って、ない人は購入して使ってください。
下山すると少し歩きやすい道も出てきました。
こういう道は本当にありがたい。
HPが回復しますね。
さて、約200mを降りてきてようやく高見石小屋に到着です。
待ちに待った揚げパンです。
お腹ペコペコです。
5種類盛りと選択2種盛りがあります。
5個も食べられないかなと思い、選択2種盛りできなこと抹茶を選びました。
暖めるためか、できあがりまで10分ほどかかりました。
その間、小屋のベンチから八ヶ岳の自然をぼーっと眺めながら揚げパンを待ちます。
ようやく出来上がりました。揚げパンです。
揚げパンは拳よりも一回り大きいぐらいのサイズです。
暖かく良い匂いです。
一口食べると、甘みと油のこってりが疲れた身体を癒やしてくれます。
一気に空腹の扉が開かれました。
5種類行けたかなと思いつつ、腹八分目に抑え持っていた行動食を食べました。
お昼を高見石小屋で食べることにして正解でした。
高見石小屋から丸山、そして下山:荒れた道
さて、お腹も満たされたので帰ります。
高見石小屋から白駒池へ下っても良いのですが、折角なので丸山へ行きます。
丸山までまた登らなくてはなりません。
約20分と今までの行程を考えれば、さほど辛くはありません。
感覚的にちょっと登ったら丸山に到着する、そんな感じでした。
本当にサクッと丸山に到着しました。
丸山の眺望は少なく、空が開けているだけです。
今まで沢山素晴らしい景色を観られたので良いです。
山頂を後にすると、平坦な道が多くなります。
もう終わりが近付いて来ています。
そんな中、突如道が荒れ始めます。
麦草峠に近付けば近付くほど荒れてきます。
ここから丸山に登る人が少ないのか、今回の大雨でえぐれたのかわかりませんが、荒れた道が続きます。
丸山までは荒れて居なかったので、今回の大雨のせいかなと思います。
しかし、こちらから下山する人も登っている人もいないのでマイナールートだとは思います。転けないように気を付けてください。
今回もとてもよい山行でした。
今回の登山装備品
今回の山行は7月中旬です。
その時の登山装備を紹介します。参考にしてください。
ザック | Osprey タロンベロシティ 30 | 軽くて身体のフィット感がいいです。 夏は30L前後でいいです。 | |
パンツ | ノースフェイス ロングパンツ アルパインライトパンツ | 薄手ですが破けにくく、歩きやすいです | |
ベースレイヤー | アイスブレイカー スフィア2 | 汗をかいても臭くならなかったです。 | |
肌着 | ミレー アンダーウェア | 汗を素早く吸収し放散するので、汗冷え予防に最適です | |
山シャツ | カリマー Yシャツ aerial | 夏でも重宝します。肌寒いときに◎ | |
レインウェア(上下) | ノースフェイス クライムライトジャケット | 耐水圧はもちろん軽くて動きやすいです。 | |
手袋(防水) | ファイントラック エバーブレストレイルグローブ | 防水性に優れています。 | |
靴下 | スマートウール ハイククラシックフルクッションクルー | 薄手ですが、クッション性に優れています。 | |
ヘッドライト | ペツル ACTIK アクティック | 遭難したときのために | |
ファーストエイド | Kozy More 救急セット | 網羅されている応急セットです。 | |
バッテリー | Anker Power Bank バッテリー | 急速充電がスマホ2回分可能です。 | |
日焼け止め | スキンアクア 日焼け止め | 夏の日差しは強いので、予防をしましょう。 | |
行動食 | INゼリー | 夏の必需品です。 | |
行動食 | カルパス | 通年持って行っています。 | |
水 | 天然水 | 細身なのでサイドポケットに収納しやすいです。 |
真夏ですが、朝や休憩時は肌寒いです。風が吹けば一気に体感温度は下がります。
季節の天気と服装について知りたい方はこちらをご覧下さい。
駐車場とトイレ事情
駐車場は麦草峠公共駐車場か白駒池有料駐車場に駐める事が出来ます。
どちらもトイレはあります。
白駒の奥庭を観たい方は麦草峠から登ることをオススメします。
山に入ると高見石小屋までトイレはありません。
最悪、中山峠には行かずに黒百合ヒュッテに行けばトイレはあります。
トイレが近い人は携帯トイレがあると安心でしょう。
まとめ
麦草峠から白駒池経由で登る北八ヶ岳の周回ルートを紹介しました。
思っている以上にアップダウンがあり、大変です。
しかし、その大変さを乗り越えると素晴らしい景色が待っています。
こんなにも様々な景色を魅せてくれるのも珍しいと思います。
北八ヶ岳を堪能したい方は疲労対策をしてからチャレンジしてください。
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