登山を始めて「北アルプスの綺麗な景色をみたいな・・・でも、私なんか・・・」と思っていませんか。
無理かもしれないけど、観てみたい。そう思っていませんか。
確かに、北アルプスの山脈の多くは2500m以上です。
登山を始めて間もない私でも登頂できるのか?と不安になるかもしれません。
でも、諦めないでください!いや、諦めなくても大丈夫です。登れます!
初心者のあなたでも北アルプスの素晴らしい景色を間近で観る事ができます。
では、どこの北アルプスの山なら登れるのか。
答えは「燕岳」です。
燕岳は北アルプスの女王と言われるほど、美しい山容が広がっています。
一方、北アルプスの三大急登とも言われています。
美しくも険しい山である燕岳を何故初心者に勧めるのか。
その理由は6つあります。
これからその理由を解説していきます。
最後まで読めば、きっと燕岳へ行きたくなります。
【注意】
登山は事前計画が大切です。事故なく楽しく登山をするために、体調面含め必要な登山用品を準備してから登りましょう。
わかりやすく、整備された登山道
燕岳は北アルプスの中でも人気の高い山です。
季節の都度に変わる燕岳の姿を楽しむために、多くの人が登りに来ます。
土日になれば、3カ所ある駐車場は満車になるほどです。
それほど人気の山なので、歩きやすいです。
歩きやすいとは、どちらへ進めばいいかわかりやすく、そしてよく整備された道であるという事です。
山小屋さん達の努力が詰まっている道ですね。
より多くの人に楽しんで欲しいという思いからだと思います。ありがたいです。
詳しい登山道はこちらのブログをご覧ください。動画もあるので、よりイメージつきやすいです。
ここでも簡単に登山道について説明します。
燕岳に登るには中房登山口から登り始めます。
ここには綺麗なトイレや日帰り温泉と売店があります。売店にはアイスやビールが売っています。
下山後、ここで温泉入ってもいいですね。
話は少しずれますが、自家用車で来ている人は有明荘の温泉に入るのもおすすめです。
有明荘の横には、安曇野市営第3駐車場があります。登山口からは約15分離れているので不便かもしれませんが、下山後は車に荷物を置いて、着替えを持ってサクッと温泉に入れます。
第1・2駐車場は約10分で登山口に到着しますが、中房温泉にも有明荘にも微妙に遠いです。
なので、温泉に入るのが億劫になります。
下山後に荷物を置いてサクッと温泉に入りたい方は、安曇野市営第3駐車場がおすすめです。第3駐車場なので駐車場争いにも巻きもまれません。
登山口1462mから燕岳山頂2763mまでの標高差約1300mを登って行きましょう。
冒頭でもお話しましたが、燕岳(合戦尾根)は北アルプス三大急登の一つです。確かに最初からかなりの急登を登ります。
他の2つは鳥帽子岳のブナ立尾根、剱岳の早月尾根がランクインしています。
ちなみに、日本三大急登は先ほど紹介した鳥帽子岳のブナ立尾根に加えて、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根、谷川岳の西黒尾根が選ばれています。
どれも急登で大変な道ですが、そこを登った先の景色は最高です。
さて、燕岳の合戦尾根は最初から木道や岩場から登り始めます。
大きく足を上げて登らなければならないので、すぐエネルギーがなくなってしまいます。
朝ご飯はしっかり食べましょう。
燕岳は急登ではありますが、整備が行き届いています。
草が生い茂りどこが登山道なのかわからないこともないし、木道が壊れて今にも崩れ落ちそうな所もありません。
なので、初心者でも歩きやすい登山道です。
また、人は目的地までカウントダウンされると頑張れるものです。
合戦小屋まで標識やベンチなど様々な目印が容易されています。
登山口から第1ベンチまで約50分、第2ベンチまで約20分、第3ベンチまで約25分、富士見ベンチまで約40分、合戦小屋まで約30分が目安です。
これを知っているだけで、ずいぶんと気持ちが楽になりますよね。
大休憩は合戦小屋で取る事をおすすめします。
飲み物、食べ物はもちろん、なんとスイカも用意されています。
冷えたスイカに塩をかけて食べると、甘みが増して、急登を登って疲れた身体を癒やしてくれます。
一人で丸々一個食べれるほど美味しいです。
沢山のテーブルとイスがあるので、座れないという事はありません。
ゆっくりしっかり休みましょう。
ここには有料トレイがあります。燕山荘までトイレがないので、思い残すことなくしっかり用を足してから出発しましょう。
合戦小屋から燕山荘まで60~90分ぐらいで到着します。
まだまだ急な坂道や岩場もありますが、ピンクテープや丸印など登山道を記す目印があるので、迷わずに進めます。
遭難の心配はありません。
燕山荘直下の坂は心が折れかけますが、ゆっくり歩きましょう。この辺りから槍ヶ岳や大天井岳など景色が開けて、素晴らしい眺望になります。
景色を楽しみながら歩けば辛さも軽減します。
山荘直下の急登を頑張ると更に素晴らしい景色が広がっていますので頑張りましょう。
燕山荘に到着したら一安心です。無事に到着できましたね。さあ、ピークハントしましょう。
燕山荘から燕岳山頂までは約40分です。
山頂前の道は少しわかりづらい道もありますので、気を付けてください。霧が出ていると自分は上に登っているつもりでも、下っている時があります。
よく見ると目印があるので、探しながら進みましょう。
燕岳に登頂出来たら、北燕岳にも足を伸ばしてみましょう。
燕岳よりも立山や剱岳を近くに感じる事ができます。そして、あまり人気がないのか人がいません。静かに北アルプスを楽しみたい人にはオススメです。
登り約4時間で絶景に出会える
燕岳の山頂まで約6時間かかります。
燕岳も歴とした北アルプスの山の一つなので、鼻歌を歌って登れるほど簡単ではありません。
ただし、燕岳は山頂に登らずとも素晴らしい景色に出会えるのです。
山頂前でも絶景を観る事が出来て、絶景までの時間も短いのは燕岳ぐらいでしょう。
同じ北アルプスの蝶ヶ岳も山頂の景色は最高ですが、それまでほぼ林道です。約6時間林道歩きです。
絶景だけなら、唐松岳や五竜岳の遠見尾根などもオススメですが、ある理由で強くは勧められません。
その理由は後述します。
山登りは基本辛いです。
でも、その辛さを耐えてでも観たい景色があるから登ります。
何も景色がない登りを永遠に登るために、山へ出かける人は少ないと思います。
多くの人はその山の絶景が観たくて登っていると思います。
ならば、1秒でも早く絶景を観たいですよね。
永遠に林道やうっそうとした森歩きよりも稜線で景色が広がった道を歩きたいですよね。
それが可能なのが燕岳です。
合戦小屋以降は徐々に景色が開けてきて、槍ヶ岳や大天井岳を観ることができます。
この景色を観ることが出来たら、疲れも吹っ飛びます。
後2時間ぐらい軽く登れる事ができます。
前を見れば燕岳山頂、横を見れば穂高連峰の槍ヶ岳と大天井岳へ続く表銀座ルート。
この行動時間でこの景色を観られるのはコスパがいいですね。
もし、疲れてしまったら「ここを今日の山頂とする」としてお昼を食べて下山してもいいでしょう。
それぐらい満足度の高い山です。
絶景だけはなく、高山植物や雷鳥にも出会う事ができます。
この二つを観るには燕山荘まで登らなくてはなりませんが、花崗岩という白く美しい岩肌に咲く高山植物は他の山とは違う美しさを放っています。
燕山荘付近でよく雷鳥を目撃します。
朝日前から10時ぐらいまではご飯を食べたり、砂浴びをしたりする姿を見かけます。
雷鳥は中央アルプスや南アルプスではあまり見かけません。
北アルプスだと高確率で出会えます。
日帰りだと難しいですが、小屋泊もしくはテント泊をして早朝散歩してみてください。
雷鳥の「グェー」という鳴き声と姿を楽しむ事ができます。
山小屋があるから安心
登山中は何が起こるかわかりません。
迷いにくく、歩きやすい登山道でも思わぬ事故が起こるかもしれません。
それは捻挫かもしれませんし、骨折かもしれません。他にも熱中症やガス欠になるかもしれません。
いくら気を付けていても起きる時は起きてしまいます。
そういう時に山小屋があるととても安心です。
唐松岳は絶景です。
2024年に放送されたマウンテンドクターでは主に八方尾根が使われていました。
登山慣れしていない役者さんでも登れるぐらい歩きやすく景色のいい登山道です。
しかし、八方池山荘から唐松山荘まで山小屋はありません。
休憩を入れながらゆっくり歩くと約3~4時間かかります。
一方、燕岳はゆっくり歩いても約3時間で合戦小屋に到着します。
また、燕岳は登山口にも、中継地点にも、山頂にも山小屋があります。
3カ所もあります。
コンスタントに山小屋があるという事はそれだけ、何か起きたときに駆け込める場所があるという事です。
リスクを下げるためにも、山小屋が多い燕岳はオススメです。
日帰り登山も可能
初心者にはお勧めできませんが、日帰りも不可能ではない数少ない山の一つです。
小学生も登れるので不可能ではありません。
ただ、休憩を含めて約10時間ほどかかります。
具体的には登り4.5時間、山頂1.5時間、下山4時間です。
この行程だと、朝6時から登り始めて、夕方4時ぐらいに降りてこれます。
山頂をもっと堪能したい方は朝4~5時から登る事をおすすめします。
宿泊者も多いですが、日帰り登山者も多いのも燕岳の特徴です。
日帰りするには、早めに駐車場に着いておく事をオススメします。
約10時間登るのはかなり体力を要します。
不眠不休で車を運転してから登ると高山病やガス欠も引き起こします。
当然ですが、登山前はゆっくり身体を休めてから登りましょう。
土日はより早めに来た方がいいでしょう。
金曜日夜22時に第1駐車場は満車。土曜日0時に第2駐車場満車。土曜日朝3時に第3駐車場は満車。
こんな感じでした。土日休みの方で日帰りを検討している方は尚更前泊がいいでしょうね。
また、日帰りは一日でかなりのカロリーを消費します。
山小屋でご飯を食べるならいいですが、行動食だけでエネルギーを補うなら以下の計算式で必要なエネルギ-を計算しましょう。
【登山に必要な食料&水分量の計算式】
・登山の消費カロリー=体重×0.155kcal×登山時間(h)×60(分)
・必要な水分量(ml)=自重(体重+ザック)×5×行動時間(h)
日帰り登山はずっと行動しています。
そのため、かなりカロリーを消費します。
登山の消費カロリーは体重×0.155kcal×登山時間(分)です。
なので、私が燕岳を日帰りすると約4200kcalを消費します。
寒さが加わると更に上がります。
カロリー不足になると、熱産生ができず体温も下がり、判断能力も低下するため、しっかりカロリー摂取をする必要があります。
日帰りの場合は、食料や飲料水をしっかり持参して登ってください。
★日帰り登山の行動食★
・水3リットル(途中補給)
・おにぎり×2個
・おやき×2個
・ナッツ一袋、柿ピー
・ウィンダインゼリー×6個
合計カロリー:約2000kcal
これに加えて、朝ご飯をたっぷり食べて、昼ご飯もしっかり食べています。
ウィンダインゼリーだとかさばる。ナッツアレルギーがある方は、干し芋、カロリーメイト、おせんべい、羊羹などがよいでしょう。
羊羹や餡子は思った以上に喉ごしがよく疲れていてもすっと食べることができます。
また、かさばらないのでウィダインゼリーよりも重宝されています。
餡子が好きな人にはいい行動食になるでしょう。
水分は小屋で購入できますが、必要最低限はちゃんと持参しましょう。
日帰りのザック容量は30Lでぴったし、40Lあれば安心です。
私はオスプレーのザックを使っています。容量はだいたい45Lぐらいです。
身体にフィットして、あまり重量を感じません。そして、下を向いてもザックがずり落ちてきません。これはかなり優秀です。
ザックがフィットしないと疲れます。なぜなら、少し動いただけでザックも動き、ザックの動きを制御するために踏ん張らなければならないからです。
理想のザックは背負っている事を忘れるぐらいフィットしている。
この理想が叶うのがオスプレーです。
サイドポッケも広く深いので水筒やペットボトルを取り出しやすいです。ザックを降ろさなくても飲み物が取り出せるので、狭い場所でも好きなタイミングで水分をとることができます。
もっと軽くて小さめのザックが欲しい方はオスプレータロンベロシティです。女性用はテンペストベロシティという名前です。
これは軽くするために、部品を極限まで制限している中でも身体のフィット感はそのままのザックです。
水筒の取り出しやすさもそのままです。より軽さを求める方にはオススメでしょう。
登山口に温泉がある
登山後の温泉って最高ですよね。
これは初心者に限らず、みんなそうかもしれませんね。
温泉もしくは銭湯が登山口近くにないとちょっと悲しみを抱くほどです。
登山後に登山靴を脱いだあの解放感のまま、温泉に行きたいです。
登山慣れしている人ならこのベタベタもある程度許容できるかもしれません。それぐらい我慢出来る体力が残っているからだと思います。
一方、初心者の方は体力を使い切っているでしょう。
疲労を回復するには、この汗だく、泥だく、日焼け止めでベトベトの不快感を取り除くのが一番手っ取り早い。
お風呂に入りましょう。
なので、すぐにでもお風呂に入れる燕岳は初心者にお勧めです。
疲労回復を手伝ってくれるのは中房温泉と有明荘です。
中房温泉は登山口にあります。
着替えやアメニティグッツを持つ不便さはありますが、バスやタクシーで帰る人には嬉しいです。
また、安曇野市営第3駐車場の隣に有明荘があります。
ここでも温泉に入ることができます。
ここは宿泊場も兼ね備えているため、アメニティなども豊富です。
タオルもあるので、手ぶらでもいいでしょう。
有明荘の前にはバス停やタクシー乗り場もあります。
休憩所もあるので、バスやタクシーを待つ間にくつろぐには最適な場所です。
山小屋は景色もよく日常では味わえない素晴らしい経験を得られます。その一方、日帰りで下山後に麓の宿に泊まるのもまたいい選択です。
お風呂もあり、ご飯は出てくるし、暖かい布団で休めます。
日帰りでそのまま帰らずに、登山の余韻に浸りながらお宿でゆっくりするのも楽しいですよ。
交通機関がしっかりしている
中房温泉登山口までバスやタクシーで来る事も出来ます。
定期バスは4月下旬から11月上旬まで運行しています。
1番早く中房温泉に着く定期バスは安曇野の里4:55発、中房温泉6:05着です。
7月中旬から8月までは穂高駅から臨時便が出ています。5:35に中房温泉に到着するのが1番早いです。
しかし、日帰りだと6時から登り始めると下山するのが17時とかになる可能性があります。
夏ならば日が出ているので、山道が見えると思いますが、余裕を持った計画をしましょう。
もっと早く登りたい方は自家用車で中房温泉登山口に来ることも検討しても良いかもしれません。
先ほどもお伝えしましたが、駐車場は第1~3駐車場があります。
第1駐車場は登山口に1番近いです。だいたい50台ぐらい駐車できます。
第2駐車場は第1駐車場から少し道路を下った場所にあります。約40台止められます。
第3駐車場は更に下った場所にあり、約30台停めることができます。
いずれも週末は満車になると想定して行動された方がよいと思います。
第1駐車場にトイレはありますが、衛生面の点から登山口のトイレを使うことをおすすめします。
まとめ
いかがでしょうか。
登山初心者でも登りやすい山だと思います。
もちろん、約2800mと標高の高い山なので、天気によって難易度は変ります。
ちゃんとレインウエアや食料など事前準備をしてから登ってください。
楽しく登山するためには、8割ほど事前準備にかかっています。
楽しく、登って、良い思い出にしてください。
では、また会いましょう。
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