オフシーズンの季節になると多くの山小屋は休業になります。
アルプスの山小屋はほとんど休業になります。
年末年始もほとんど営業していません。
しかし、南アルプスは冬期避難小屋がどの山域よりも開いています。
南アルプスの多くは片道7時間以上かかります。
日帰りは難しい山が多いです。玄人好みの山なのは確かです。
険しい南アルプスではありますが、冬期避難小屋があると、無理のない山行計画を立てやすいです。
南アルプスは北アルプスよりも東南にあるので、冬型気圧配置の影響を受けにくいです。
冬型気圧配置とは西側に高気圧、東側に低気圧が位置する天気図です。
それにより、西側のシベリアから冷たい風が日本海を襲い、雪を降らします。
一方、東側は晴れる事が多いです。
なので、南アルプスは北アルプスよりも晴れている事が多いです。
雪も少なめです。
つまり、冬は北アルプスよりも南アルプスの方が登山しやすいです。
困った時の南アルプス頼み。
南アルプスの冬期避難小屋を確認して、素敵な山行計画をたててください。
冬の南アルプスを楽しんでください。
【注意】
登山は事前計画が大切です。事故なく楽しく登山をするために、体調面含め必要な登山用品を準備してから登りましょう。また、このデータは2024年11月の情報です。人員確保が難しく営業期間の短縮などもあるので行かれる際は必ず確認してからにしてください。
冬期避難小屋・年末年始営業の山小屋はどこ?
これから南アルプスの冬期小屋と年末年始に営業している山小屋を紹介します。
北アルプスの冬期小屋&年末年始営業の山小屋についてはこちらをご覧下さい。
冬期避難小屋について
南アルプスは多くの冬期避難小屋があります。
その数はなんと21山小屋です。
北アルプスが5山小屋なので、その多さがわかります。
南アルプスは登山口までたどり着くのが大変です。
例えば、芝沢や畑薙、椹島などです。
しかし、その難題を乗り越えれば、南アルプスの雄大な雪山を独り占めできます。
では、それぞれの山小屋をみていきましょう。
数が多いので山ごとに冬期避難小屋を紹介します。
甲斐駒ヶ岳:仙水荘、長衛小屋、七丈小屋
南アルプスの貴公子と名高い、甲斐駒ヶ岳。
夏シーズンは仙流荘にある戸台口バス停から北沢峠バス停までバスで向かいます。
しかし、冬期はバスが運休しています。
なので、仙流荘から約15km歩いて北沢峠へ向かわなければなりません。
この林道歩きだけで約3時間かかります。
なかなか大変です。
オススメは甲斐駒ヶ岳の麓にある長衛小屋か仙流荘に宿泊し、翌日に山頂アタックする山行です。
2日目も長衛小屋か仙水小屋に泊まると更に身体に負担がかからないですね。
一方、尾白川渓谷から登るルートもあります。
このルートは黒戸尾根を通ります。
黒戸尾根は日本三大急登の一つです。
加えて、雪です。
大変な山行になるのは想像に難しくないです。
ただ、こちらには通年営業している七丈小屋があります。
なので、冬期避難小屋宿泊装備は不要です。
軽い荷物で登れる事ができます。
距離が長く重装備だけど歩きやすい山行か、日本三大急登だが通年営業の山小屋か。
自分の知識と技術で選ぶ事ができます。
仙丈ヶ岳:長衛小屋、仙水小屋、仙丈小屋
南アルプスの貴公子があるなら、南アルプスの女王もあります。
仙丈ヶ岳です。
仙丈ヶ岳は甲斐駒ヶ岳とはまた違う雄大さと美しさを持っています。
夏の場合、仙丈ヶ岳も甲斐駒ヶ岳と同様に北沢峠から登る事ができます。
夏なら気軽に登る事ができますが、冬はそう言えません。
甲斐駒ヶ岳と同じ仙流荘から歩いて北沢峠へ向かいます。
それ以外に、柏木登山口から地蔵尾根を登るルートもありますが、一筋縄ではいきません。
片道約8時間です。
しかし、このルートの良い所は山頂までに冬期避難小屋が2カ所ある事です。
一つ目は松峰小屋です。
通年無人の避難小屋です。10人ぐらいが寝られるスペースのある山小屋です。
しかし、水場もありません。雪があればいいですが、なければ必要な水を担いで登らなければなりません。
二つ目は仙丈小屋です。
仙丈小屋は山頂付近にある山小屋です。
トイレもあり、比較的綺麗な冬期小屋なので松峰小屋よりも過ごしやすいです。
柏木登山口から松峰小屋まで、松峰小屋から仙丈小屋までそれぞれ約4時間です。
2泊3日と日数を確保できるなら、地蔵尾根山行の難易度も下がるでしょう。
地蔵尾根から登った仙丈小屋泊、仙丈小屋泊についてこちらの動画をご覧ください。
鳳凰三山:鳳凰小屋、薬師岳小屋、南御室小屋
鳳凰三山は薬師岳、観音岳、地蔵岳の三つを合わせて呼びます。
冬型気圧配置の影響を受けにくい山域の一つです。
鳳凰三山に登るには、夜叉神峠か青木鉱泉から登ります。
青木鉱泉から登ると周回コースや爆氷を楽しめる良いルートです。
しかし、徒渉ややや荒れている道を歩くので、冬期は難易度があがります。
その難題を突破すれば2024年度に立て変わった鳳凰小屋の冬期避難小屋に泊まる事ができます。
また、この山小屋から地蔵岳・観音岳の山頂まで約1時間なので、日の出アタックしやすいです。
貸切⁉️ 鳳凰三山サーキット〜青木鉱泉登山口 / Mokoto Monsterさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ
ただ、青木鉱泉までの道が12月上旬には冬期通行止めになるので、このルートは12月中旬から4月末までは使えません。
もし、地蔵岳へ登りたい場合は北沢峠から早川尾根を通ればいけます。
早川尾根には早川尾根小屋があるので、そこの冬期避難小屋に泊まれば可能です。
冬期に早川尾根小屋に泊まった動画がなかったので、オンシーズンの動画があったのでイメージにどうぞ。
一方、夜叉神峠登山口からは通年登る事ができます。
距離が長く大変ですが、青木鉱泉よりも歩きやすいので、体力があればたどり着けるでしょう。
薬師岳までに南御室小屋と薬師岳小屋があります。
ただ、冬期避難小屋が狭いので、定員オーバーになる可能性もあります。
泊まれない可能性も考慮して、テントも持参しなければなりません。
薬師岳冬期避難小屋に泊まった動画はこちら。
南御室小屋の冬期避難小屋の動画はなかったので、テント泊している動画でイメージをつけてください。
聖岳:聖平小屋
聖岳に登るには芝沢ゲートから登らなければなりません。
芝沢ゲートから易老渡までは林道を約1時間歩かなければなりません。
畑薙ゲートから椹島までの約6時間かかることを考えるとマシです。
易老度から約5~6時間で聖平小屋に到着します。
山小屋から約30分で山頂に到着します。
林道歩きはありますが、距離は長いけども登りやすい南アルプスの一つです。
光岳:光岳小屋
光岳に登るにも芝沢ゲートから登ります。
芝沢ゲートから易老渡から聖岳方面ではなく、易老岳へ進みます。
そこから約2時間で光岳小屋に到着します。
ゲートから2400mの標高差を登ります。
かなり大変ですが、その苦労も美しい稜線や綺麗な光岳小屋の冬期小屋泊で報われます。
茶臼岳:横窪沢小屋、茶臼小屋
畑薙ダム駐車場から沼平ゲートまで進み、そこから登り始めます。
横窪沢小屋までは歩きやすい道が続きます。
茶臼小屋以降は雪深いところも多く、膝上まで積もります。
ただ、1日約6時間で山頂付近の山小屋まで登れるのはいい山です。
横窪沢避難小屋の様子はこの動画からどうぞ。
悪沢岳:千枚小屋、荒川中岳避難小屋、荒川小屋
悪沢岳に登るには椹島から登る必要があります。
悪沢岳は東尾根から赤石岳を経由するルートと椹島から反時計周りで登るルートがあります。
ここでは反時計回りルートで紹介します。
夏の椹島に行くには畑薙ダム駐車場から東海フォレストが運行しているバスで向かいます。
冬は運休しています。
なので、この約20kmかつ林道、しかも凍結道路を歩かなければなりません。
ここだけで約6時間かかります。
登山を始める前に約6時間は躊躇するレベルです。
さらに、椹島から悪沢岳まで約6時間かかります。
一日で千枚小屋に行くには約12時間かかります。
夏の様子ですが、千枚小屋の様子をどうぞ。
人様のブログですが、こちらをご覧ください。
悪沢岳から荒川中岳避難小屋や荒川小屋へ一日で向かうのは無謀です。
千枚小屋に宿泊して、翌日悪沢岳へアタック、荒川中岳避難小屋もしくは荒川小屋に宿泊して下山がいいでしょう。
荒川中岳避難小屋、荒川小屋についていい資料がありませんでした。
荒川中岳避難小屋の外観はこちらの動画をご覧ください。
赤石岳:荒川小屋、赤石岳避難小屋、赤石小屋、百問洞の家
赤石岳も椹島から登ります。
赤石岳までは約5時間で登れます。
道も登りやすいので、夏はとてもいい山ですが、冬になると一変します。
道もわかりづらく、雪深い場所もあります。
行かれる際は気を付けましょう。
荒川小屋、赤石岳避難小屋はこちらの動画をご覧ください。
荒川岳:荒川中岳避難小屋、荒川小屋、高山裏避難小屋
荒川岳も椹島から登ります。
悪沢岳、赤石岳、荒川岳、すべて椹島が拠点なっていますね。
畑薙ダムから椹島まで約6時間は先ほど説明しました。
荒川岳は悪沢岳経由もしくは赤石岳経由で登りますが、どの道も険しい道のりです。
初心者が安易に登る山ではないですが、冬期避難小屋は沢山あります。
年末年始営業の山小屋について
年末年始にやっている山小屋は長衛小屋のみです。
長衛小屋は仙流荘から行くことができます。
長衛小屋から甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳にアタックする事ができます。
また、七丈小屋は通年営業です。
七丈小屋は甲斐駒ヶ岳へ続く黒戸尾根の途中にあります。
少しでも荷物を軽くしたい方はご利用ください。
長衛小屋の公式サイトはこちらからどうぞ。
七丈小屋はこちらからどうぞ。
南アルプスの冬期避難小屋と年末年始営業小屋一覧
南アルプスの冬期避難小屋と年末年始に営業している山小屋一覧はこちらをどうぞ。
近くの山小屋 | 営業期間 | 年末年始 | 冬季避難小屋 | テント場 | |
甲斐駒ヶ岳 | 七丈小屋 | 通年 | - | - | 〇 |
仙水小屋 | 6月中旬~10月下旬 | × | 〇 | 〇 | |
長衛小屋 | 6月中旬~11月上旬 | 〇 | 〇 | 〇 | |
仙丈ヶ岳 | 仙丈小屋 | 6月上旬~10月下旬 | × | 〇 | × |
馬の背ヒュッテ | 7月中旬~10月中旬 | × | × | × | |
松峰小屋 | 通年(無人) | - | - | × | |
長衛小屋 | 6月中旬~11月上旬 | 〇 | 〇 | 〇 | |
塩見岳 | 塩見小屋 | 7月上旬~10月中旬 | × | 〇 (雪に埋まりやすい) | × |
アサヨ峰 | 早川尾根小屋 | 7月中旬~10月初旬 | × | 〇 | 〇 |
地蔵岳 | 早川尾根小屋 | 7月中旬~10月初旬 | × | 〇 | 〇 |
鳳凰小屋 | 4月下旬~11月中旬 | × | 〇 (有料) | 〇 | |
観音岳 | 鳳凰小屋 | 4月下旬~11月中旬 | × | 〇 (有料) | 〇 |
薬師岳 | 薬師岳小屋 | 6月~10月 (4~5月変則) | × | 〇 (有料) | × |
南御室小屋 | 6月~10月 (4~5月変則) | × | 〇 (有料) | 末 | |
北岳 | 北岳肩の小屋 | 6月下旬~10月下旬 | × | × | 〇 |
北岳山荘 | 6月中旬〜11月初旬 | × | × | 〇 | |
間ノ岳 | 北岳山荘 | 6月中旬〜11月初旬 | × | × | 〇 |
農鳥岳 | 農鳥小屋 | 7月初旬~10月初旬 | × | × | 〇 |
悪沢岳 | 千枚小屋 | 7月中旬~10月上旬 | × | 〇 | 〇 |
荒川中岳避難小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | × | |
荒川小屋 | 7月中旬~10月中旬 | × | 〇 | 〇 | |
荒川岳 | 荒川中岳避難小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | × |
荒川小屋 | 7月中旬~10月中旬 | × | 〇 | 〇 | |
高山裏避難小屋 | 7月上旬~8月下旬 | × | 〇 | 〇 | |
赤石岳 | 荒川小屋 | 7月中旬~10月中旬 | × | 〇 | 〇 |
赤石岳避難小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | × | |
赤石小屋 | 7月中旬~10月中旬 | × | 〇 | 〇 | |
百問洞の家 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | 〇 | |
兎岳 | 兎岳避難小屋 | 使用不可 | × | × | × |
聖岳 | 兎岳避難小屋 | 使用不可 | × | × | × |
聖平小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | 〇 | |
上河内岳 | 聖平小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | 〇 |
茶臼小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | 〇 | |
茶臼岳 | 茶臼小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | 〇 |
横窪沢小屋 | 7月中旬~8月末 | × | 〇 | × | |
易老岳 | 光岳小屋 | 7月下旬〜9月下旬 | × | 〇 | 〇 |
光岳 | 光岳小屋 | 7月下旬〜9月下旬 | × | 〇 | 〇 |
仙塩尾根 | 両俣小屋 | 6月中旬〜10月末 | × | 〇 | 〇 |
熊の平小屋 | 7月中旬~9月下旬 | × | 〇 | 〇 | |
三伏峠小屋 | 7月初旬~9月下旬 | × | × | 〇 | |
小河内岳避難小屋 | 7月上旬~8月下旬 | × | 〇 | × |
お薦めの冬山雪山登山(宿泊)プランは?
玄人好みの南アルプスの中で登りやすいおすすめのプランを紹介します。
おすすめのプランでもかなり体力が必要です。
自分の体力・技術に合わせて山を選んでください。
また、雪山登山後はかなり疲れています。温泉や旅館で登山の疲れを癒やして体調管理には気を付けてください。
鳳凰小屋(青木鉱泉):地蔵岳、観音岳
青木鉱泉までの道は12月上旬から冬期通行止めになります。
開通は4月末です。
なので、冬期避難小屋を堪能できるのは、11~12月の限定的期間だけです。
約1ヶ月の期間しか泊まれないなら使ってみたい。
そう思う人は是非。
青木鉱泉から約5~6時間で山小屋にいけます。
そして、地蔵岳も観音岳もどちらも山小屋から約1時間で登れます。
ただ、青木鉱泉から鳳凰小屋までは徒渉も多く険しい山道が続きます。体力もルートファイディングが求められます。
南御室小屋(夜叉神峠):鳳凰三山
南御室小屋に行くには夜叉神峠から登ります。
青木鉱泉と比べて夜叉神峠から南御室小屋までわかりやすく、歩きやすい道です。
雪山初心者でも登りやすい山の一つでしょう。
南御室小屋の冬期避難小屋は狭いです。定員は6人程度。
土日は満室になり泊まれない場合もあります。
念のため、テント泊装備を持参した方がいいです。
夜叉神峠から登る山行ブログはこちらをご覧ください。
薬師岳小屋(夜叉神峠)
南御室小屋を通り過ぎ、薬師岳手前にあるのが薬師岳小屋です。
すぐに薬師岳に登れるのは魅力的です。
ただ、薬師岳小屋もかなり狭い冬期避難小屋ので、泊まれない場合もあります。
泊まれない場合は南御室小屋まで戻りテント泊をしなければなりません。
避難小屋に泊まりたい場合は平日が確実でしょう。
仙丈小屋(地蔵尾根)
冬の仙丈小屋へ登るには地蔵尾根から登ります。
地蔵尾根は片道8時間以上あるので大変ですが、道中に松峰小屋という避難小屋もあります。
非常事態の場合、この避難小屋が使えるので安心です。
しかし、2月厳冬期は雪も深く、ラッセル必須です。ルートファイディングも求められるため、体力も山知識も求められる登山道です。
光岳小屋
芝沢ゲートから易老渡まで約1時間の林道歩きから開始です。
オンシーズンでもイザルヶ岳まで約7時間かかります。
冬期だとそれ以上にかかります。
約10時間はかかる事を念頭においておきましょう。
南アルプスは険しい山道が多いです。
かなり大変な山行になるでしょう。玄人好みの道です。
聖平小屋
光岳小屋と同じように芝沢ゲートから登ります。
こちらの道もかなり険しいので、行く場合は気を付けてください。
こちらも同様に玄人好みの登山道です。
茶臼小屋
畑薙ゲートから約40分歩くと沼平に到着します。
そこから約7時間歩いて登ります。
あまり有名な山道ではないので、人が少なくラッセルを強いられると思われます。
それでも、のんびり山道を楽しみたい人には良いかもしれません。
まとめ
北アルプスは歩きやすい一方、南アルプスは玄人好みの山道が多いです。
雪が積もってもその険しさは変わりません。
しかし、雄大な南アルプスの景色を堪能できるチャンスが冬にあります。
準備は大変ですが、是非チェレンジしてみてください。
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