初めてのテント泊装備|軽くて安くて性能が良い道具は本当にある?

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初めてテント泊をする方へお伝えしたいことがあります。

「軽くて、性能が良くて、しかも安い」——この三拍子がそろった登山道具は、残念ながら存在しないと思ってください。

テント泊するには、それなりのお金が必要です。

ウルトラライト(UL)と呼ばれる登山スタイルを追求すれば、確かに軽量化は可能です。しかしその分、耐久性や快適性が犠牲になり、しかも価格は驚くほど高くなります。

一方で、性能の良い登山道具は快適性に優れ、扱いやすく、比較的手が届く価格帯のものもあります。

ただし、性能や快適性を高めるために余分な部品や構造が加えられているため、重量は増し、軽量装備とは言えません。しっかりとした造りが特徴です。

また、安価な登山道具は購入しやすい反面、「壊れやすい」「見た目が安っぽい」といった欠点があります。

それでも多くの人が、「できるだけ軽く」「できるだけ性能が良く」「できるだけ安く」テント泊装備をそろえたいと思うはずです。

その気持ちはよくわかります。そして、その答えをここでできる限り用意しました。

ちなみに、一番安く始める方法はレンタルです。

特におすすめなのが「やまどうぐレンタル屋」。レンタルで十分だと思う方は、ぜひそちらをチェックしてみてください。

【注意】

登山は事前計画が大切です。事故なく楽しく登山をするために、体調面含め必要な登山用品を準備してから登りましょう。

季節によって異なるテント泊装備

日本には春・夏・秋・冬の四季があります。

下界の春は桜が咲き、心地よい風が吹く散歩に最適な季節ですが、山の春はまったく異なります。山では「残雪期」と呼ばれ、天気が急変すると吹雪になることも珍しくありません。

近年の夏は温暖化の影響で、うだるような暑さと高い湿度に見舞われ、毎日のように熱中症アラートが発表されています。

しかし山の夏は下界より10度以上涼しく、湿気も少ないため爽やかです。ただし、標高が高くなるほど日差しを遮るものがなく、直射日光を浴び続けるため、体力の消耗が激しくなります。

秋は「実りの秋」「運動の秋」「食欲の秋」と言われるように、活動しやすい季節です。

山でも登山に適した時期ですが、日中と朝晩の寒暖差が大きく、10度以上の差が生じることもあります。

朝晩は氷点下となり、氷が張ることもあるため注意が必要です。季節の移り変わりが急なため、時には雪が降ることもあります。

冬の山は「厳冬期」と呼ばれます。晴れていれば白銀の絶景を楽しめますが、ひとたび天気が崩れると、まるで地獄のような過酷な環境に変わります。

どの季節でも命の危険はありますが、冬はとくに危険度が高い季節です。

このように、山の気象条件は季節によって大きく異なります。

したがって、季節に応じたテント泊装備を準備することが何より大切です。

登る山によっても異なるテント泊装備

日本の山々は標高500mほどの低山から、3000mを超える高山まで幅広く存在します。

一般的に、標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がります。つまり、登山口から標高差1000mを登ると、気温は約6℃下がるということです。

たとえば、標高2100mの八ヶ岳・白駒池周辺にある青苔荘や、標高2300mのオーレン小屋と、標高3100mの穂高山荘とでは、気温が大きく異なります。

青苔荘やオーレン小屋で10℃だった場合、穂高山荘ではおよそ5℃ほど。さらに稜線では風も強く、体感温度はそれ以下になります。防寒対策を怠ると、低体温症の危険があるほどです。

また、緯度が1度上がるごとに気温は約0.6℃下がります。

北海道の緯度は北緯43度前後、長野は36度、九州は33.6度。

つまり、北海道と長野では約4℃、北海道と九州では約6℃の気温差があります。

どの地域の山を登るのか、標高はいくつか、登る季節はいつか——

これらの条件によって、必要なテント泊装備は大きく変わります。

  • 地域による違い:緯度1度上がるごとに気温は約0.6℃下がる
  • 標高による違い:標高100m上がるごとに気温は約0.6℃下がる
  • 季節による違い:日照時間や日射量が気温や寒暖差に影響

これから紹介するテント泊装備は、北アルプスや八ヶ岳の「無雪期」を想定しています。

積雪期・厳冬期の装備を知りたい方は、別記事をご覧ください。

長距離行動の大敵は「総重量」

人間は本来、狩猟民族として「長く歩く」ことに適した生き物です。

犬や猫は舌を出して体温を調整しますが、人間は汗をかくことで効率よく体温を下げることができます。

この優れた体温調整機能により、持久的に行動することが可能です。

さらに、脂肪を蓄える性質もあるため、有酸素運動を意識すればエネルギーの枯渇を最小限に抑えられます。

それなのに、なぜ登山ではあんなに疲れるのでしょうか?

主な理由は3つあります。

①ペース配分の失敗

最初から飛ばして歩くと、有酸素運動から無酸素運動に切り替わり、乳酸がたまりやすくなります。その結果、筋肉が疲労して動きが鈍くなります。

②水分・エネルギー補給の不足

登山前に食事を取らないと、すぐにエネルギーが枯渇して体が動かなくなります。

また、体内の水分が3%(33%ではなく3%)失われるだけで、筋肉機能が低下し、疲労感が増します。

行動食や水分は、1時間ごとに少しずつ摂取することを目安にしましょう。

③装備の重量

荷物が重ければ重いほど、筋肉への負担は増します。

3kgの荷物と、歩荷(ぼっか)さんのように30kg以上の荷を背負うのとでは、疲労度がまったく違います。

結論として、「長く・遠く・疲れずに歩くコツ」は、

ゆっくりしたペースで歩き、1時間ごとに水分と行動食を摂り、装備をできるだけ軽くすることです。

これにより、テント泊装備をできる限り、軽くする事がいかに大切かわかると思います。

軽量・高性能・低価格な夏のテント泊装備

軽量化の基準は「ライトウェイト(食料・水分を除いて総重量8kg以下)」、性能の基準は「5年以上使用し続けられること」とします。

また、想定する季節は夏、山域は北アルプス・涸沢や八ヶ岳周辺です。

ちなみに、各地の標高は以下の通りです。

  • 北アルプス・涸沢:標高 約2,300m
  • 北アルプス・燕山荘:標高 約2,700m
  • 八ヶ岳・赤岳鉱泉:標高 約2,200m

それでは、軽さ・性能・価格の三拍子がそろった、現時点での最強テント泊装備を紹介します。

登山装備品モデル名値段重量
シュラフエアドライト 290 ショート【イスカ】39600530
テントアライテント490001290
ザックパーゴワークス ゼン38000960
ヘッドライトヘッドランプ アクティック850097
マットネオエアーXライトNXT【サーマレスト】40000370
登山靴ケント アドバンスド ハイ GTX44000570
レインウェアクライムライトジャケット(メンズ)50000285
レインウェア(下)GORE-TEX レインパンツ21500178
フリースクリマプラス ニットパーカ9900342
登山服アイスブレーカー スフィア28800
 ロングパンツ アルパインライトパンツ16000
靴下スマートウール ハイククラシック フルクッション クルー3300
クッカーイージークック・ソロセットS2860201
ガスバーナーP-158 インテグストーブ9900100
341,360円4,923g

合計金額:約34万円

総重量:約5kg

――高い。やはり「三拍子そろった理想装備」を目指すと、この価格帯になってしまいます。

そこで注目したいのが、日本が誇るアウトドアブランド、モンベル(mont-bell)です。

同社の製品だけで装備をそろえると、次のようになります。

登山装備品モデル名値段重量
シュラフシームレス ダウンハガー800 #336300531
テントテント
ステラリッジ1+フライシート
529001340
ザックアルパインパック275001490
ヘッドライトマルチパワーヘッドライト297095
マットエクセロフト エアパッド 18022000658
登山靴アルパインクルーザー100031900719
レインウェア(上)ストームクルーザー ジャケット22000254
レインウェア(下)GORE-TEX レインパンツ21500178
フリースクリマプラス ニットパーカ9900342
登山服(上)WIC.T Men’s3100
登山服(下)O.D.パンツ ライト Men’s8900
靴下メリノウール トレッキング ソックス2090
クッカーとガスバーナークッカー
JETBOILスタッシュ
20350200
261,410円5807g

合計金額:約26万円

総重量:約6kg

モンベルはコストパフォーマンスが非常に高く、信頼性のある日本企業です。

なかには10年以上使用できるギアも多く、初心者からベテランまで幅広く支持されています。

ただし、モンベルは特定の装備に特化した海外ブランドには性能面で劣る部分もあります。

特に、テント・シュラフ(寝袋)・マット・ザックの快適性や軽量性では、アライテントやイスカなどの特化メーカーに一歩及びません。

モンベルと特化ブランドの使い分け方をすることをおすすめします。

これから紹介する装備(テント、シュラフ、マット、ザック、調理器具)のうち、テント・シュラフ・ザックは特化ブランドを選びましょう。

それ以外の装備――たとえばマットやクッカー、バーナー類――はモンベル製でまったく問題ありません。

「軽量・高性能・安価」の三拍子をすべて満たす装備は、どうしても高額になりがちです。

しかし、要所は特化ブランド、その他はモンベルでそろえることで、コスパと性能のバランスを取ることができます。

そして、もっと低価格にしたい方は、テント、マット、シュラフをレンタルしましょう。

それにより、16万円から21万円まで下げる事が出来ます。

次章では、具体的にテント・シュラフ・マット・ザック・調理器具を項目別に紹介していきます。

テント:アライテント オニドーム

初めてのテント泊――それは登山者にとって、新しい世界への第一歩です。

山の静寂の中で自分だけの時間を過ごし、夜空を見上げながら眠る体験は、まさに格別。

しかし、そんな感動的なテント泊も「テント選び」を間違えると、途端に苦行になってしまいます。

「軽くてコンパクトな方がいい?」
「雨が降ったらどうすればいい?」
「結露でテントの中がびしょ濡れになった…」

こうした悩みは、ほとんどがテントの構造選び(ダブルウォール or シングルウォール)と生地の耐久性に関係しています。

本記事では、これからテント泊を始めたい方に向けて、

  • 初心者でも扱いやすいテントの構造
  • 軽量で快適、かつ信頼できるブランド
  • 実際におすすめできる「初テント」モデル

をわかりやすく紹介します。

シュラフ:イスカ エアドライド290

「夜中に寒くて目が覚めた」「寝袋の中が湿って冷たかった」――
テント泊の失敗談で最も多いのが、シュラフ(寝袋)選びのミスです。

山の夜は、想像以上に冷え込みます。

たとえ夏の北アルプスでも、標高2,500mを超えるテント場では気温が一桁になることも珍しくありません。

日中は汗ばむほどの陽気でも、夜には急激に気温が下がり、背中や肩からじわじわと冷気が伝わってきます。

そんな過酷な環境で、体を守り、心地よく眠るために欠かせないのが自分に合ったシュラフです。

シュラフには「ダウン」と「化繊」の2種類があり、それぞれに「軽さ」「暖かさ」「濡れへの強さ」という特徴があります。

どちらを選ぶかで、あなたの山の夜の快適さは大きく変わります。

この記事では、

  • ダウンと化繊の違い
  • フィルパワー(FP)とR値の関係
  • 夏山〜秋山で使えるおすすめモデル

を初心者にもわかりやすく解説します。

「軽くて暖かく、濡れても安心」――そんな理想の寝袋を見つけて、次のテント泊を“快適な山の夜”に変えましょう。

マット:サーマレスト ネオエアーXライトNXT

テント泊で「寒くて眠れなかった」「背中が痛くて朝を迎えた」――
そんな経験がある人は、マット選びを見直すだけで一気に解決するかもしれません。

マットは単なる敷物ではなく、地面からの「冷気」と「硬さ」から体を守る断熱材兼クッションのような存在です。

特に標高2,000〜3,000mのテント場では、たとえ真夏でも夜間の気温は10℃前後まで下がり、晴れた夜ほど「放射冷却」で地面が強く冷やされます。

背中から伝わる冷気は想像以上に体力を奪い、眠りを妨げる原因になります。

そのため、テント泊においてマットは「快適さ」だけでなく「安全」に関わる重要な装備です。

マット選びで注目すべきポイントは、次の3つです。

  1. R値(断熱性能) — 数値が高いほど冷気を遮断
  2. 素材 — ナイロン、ポリエステルなどによる強度や耐久性の違い
  3. 重量と収納サイズ — 軽量化と快適性のバランスを取る

この記事では、

  • 登山用マットの種類と特徴
  • 夏山テント泊に必要なR値の目安
  • 軽量でコスパの良いおすすめモデル

を具体的に紹介していきます。

「地面からの冷えを制する者が、快適なテント泊を制す。」次の山行では、ぜひ“背中の安心”を手に入れましょう。

ザック:パーゴワークス ゼン

テント泊登山で最も長く触れ合う装備――それがザック(バックパック)です。

どんなに軽いテントやマットを選んでも、ザックが合っていなければ快適な山行はできません。

登り始めは「少し重いけど大丈夫」と感じても、何時間も歩き続けるうちに、肩や腰にじわじわと負担が溜まっていきます。

それを軽減するのが、自分の体型と荷物量に合ったザック選びです。

特にテント泊では、日帰り登山とは装備量がまったく違います。

テント・マット・シュラフ・食料・調理器具などを詰め込むと、総重量は10kgを超えることも珍しくありません。

だからこそ、「どんなザックを選ぶか」で快適性も安全性も大きく変わるのです。

ザック選びのポイントは3つ。

  1. 容量(40〜50L):テント泊なら最低40L以上が目安
  2. 背負い心地(フィッティング):腰で支えるか、肩で支えるか
  3. 重量と耐久性のバランス:軽量化しすぎると疲労が増えることも

この記事では、

  • テント泊登山に最適な容量と設計
  • 軽量化のコツとザックの構造
  • 初心者にも扱いやすいおすすめモデル

をわかりやすく紹介します。

ザックは“荷物を入れる袋”ではなく、あなたの体の一部
次の山行で、どこまでも歩ける相棒を見つけましょう。

結論、夏のテント泊装備の最適解はこれ

テント泊装備をすべて揃えようとすると、種類も価格も幅広く、迷ってしまうものです。
しかし、夏の北アルプスや八ヶ岳など、標高2,000〜3,000mの無雪期に快適なテント泊を目指すなら――
「軽量・耐久・快適性」のバランスを意識して選ぶのが正解です。

ここまで紹介してきた内容をもとに、
筆者が考える“夏のテント泊で失敗しない基本装備”をまとめると、次の通りです。

登山装備モデル名値段重量
シュラフエアドライト 290 ショート【イスカ】39600530
テントアライテント オニドーム490001290
ザックパーゴワークス ゼン38000960
マットネオエアーXライトNXT【サーマレスト】40000370
ヘッドライトマルチパワーヘッドライト297095
登山靴アルパインクルーザー100031900719
レインウェア(上)ストームクルーザー ジャケット22000254
レインウェア(下)GORE-TEX レインパンツ21500178
フリースクリマプラス ニットパーカ9900342
登山服(上)WIC.T Men’s3100
登山服(下)O.D.パンツ ライト Men’s8900
靴下メリノウール トレッキング ソックス2090
クッカーとガスバーナークッカー
JETBOILスタッシュ
20350200
289,310円4938g

どうでしょうか。

総合計金額は29万円、総重量5kgです。

軽量・性能・価格の三拍子を極めるとこのようになります。

軽量化は魅力的ですが、軽さを追い求めすぎると快適さと安全性を失うことがあります。

特に初めてのテント泊では、「少し重くても安心して眠れる」「壊れにくく扱いやすい」装備を選ぶことが、何よりも大切です。

登山の一番の贅沢は、山でぐっすり眠れること。

安心して眠れた朝のテント場こそ、最高の景色を楽しめる瞬間です。

これからテント泊を始めるあなたへ――
まずは、「信頼できる一式」を揃えて、夏の山で自分だけの夜を過ごしてみてください。

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