夏の北アルプスや八ヶ岳でのテント泊。
「夜になったら急に寒くなって眠れなかった…」「背中はマットで防げても、肩口から冷えてきた」――そんな経験をしたことはありませんか?
山の夜は、日中の気温とは別世界です。
標高2,000〜3,000mのテント場では、夏でも気温が10℃前後に下がり、放射冷却で体が冷えることもあります。
そんな環境で快適に眠るために欠かせないのが、自分に合った寝袋=シュラフです。
本記事では、
- ダウンと化繊の違い
- シュラフ選びで見るべき「フィルパワー(FP)」と「撥水性」
- 夏山に最適なおすすめモデル(イスカ・モンベル・ナンガ・ニーモ)
を徹底解説します。
中でも筆者が特におすすめするのは、イスカ(ISUKA)のシュラフです。
「超撥水ダウンなのに安くて軽い」――このコスパの高さは他社の追随を許しません。
シュラフとは?寝袋の基本
登山で言う「シュラフ」とは、いわゆる寝袋のことです。
夜の冷気から体を守り、快適な睡眠をとるための重要装備です。
中綿素材には大きく分けて2種類あります。
種類 | 特徴 |
---|---|
ダウン | 軽くて暖かいが、高価で濡れに弱い。 |
化繊(化学繊維) | 濡れに強く安価だが、かさばり重くなる。 |
ダウンと化繊の違い
ダウンの特徴
ダウンは軽量・高保温・高圧縮性が魅力。
ただし、水に濡れると空気を含む力(嵩=ふくらみ)が失われ、保温力が激減します。
保温力を示す指標が「フィルパワー(FP)」。
FPとは、ダウンの膨らみやすさを表し、数字が大きいほど少ない量で高い保温力を発揮します。
例:650FP < 700FP < 900FP
同じダウン量でもFPが高いほど暖かく、軽量になります。
化繊の特徴
化繊(化学繊維)は、濡れても保温性を維持できる点が最大のメリットです。
雨や結露、汗にも強く、ダウンより「扱いやすい」素材といえます。
ただし、保温性を確保するためには中綿を増やす必要があり、結果として重量と収納サイズが大きくなる傾向があります。
結露と湿気を考慮したシュラフ選び
山の夜は結露との戦いです。
シングルウォールのテントでは、テント内の水蒸気が外気で冷やされ水滴となりやすいです。
ダブルウォールテントもシングルウォールほどではないですが、多少結露が発生します。
その結露でシュラフが濡れて保温力を失うことがあります。
したがって、テント泊では「濡れる前提での装備選び」が重要です。
この観点から、撥水加工が施されたダウンシュラフが理想的です。
おすすめメーカー:イスカ(ISUKA)
イスカは国内の寝袋専門ブランドです。登山者に長く愛されている理由は、
- 超撥水ダウンを使用しているのに価格が良心的
- 軽量で高性能(FP770〜820クラス)
- 品質と信頼性の高さ(国内生産)
特に「エアドライト」シリーズは、夏の涸沢・槍ヶ岳・剱岳などの高山テント泊に最適です。
人気登山用シュラフ比較一覧(夏〜秋)
夏から秋に最適のシュラフを紹介します。
化繊からダウンまで様々あり、FPの違いにより値段も変わってきます。
夏しか使えないシュラフよりも、秋までカバーできるシュラフの方が汎用性が高いと思います。
この中から、私がオススメするシュラフを紹介します。
モデル名 | メーカー | 値段 | 重量 | 快適温度 / 使用限界温度 | FP / 素材 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
シームレス ダウンハガー800 #3 | モンベル | 36,300円 | 531g | 4℃ / -1℃ | 800FP 撥水生地 | 軽量でコスパ◎ |
ダウンハガー650 #3 | モンベル | 26,400円 | 695g | 3℃ / -2℃ | 650FP 撥水生地 | 初心者におすすめ |
シームレス バロウバッグ #3 | モンベル | 16,500円 | 933g | 5℃ / 0℃ | 化繊 | 安価・濡れに強い |
アルファライト 500X | イスカ | 18,700円 | 1,000g | 0℃ | 撥水化繊 | 北アルプスの夏山対応 |
ダウンプラス ポカラ X | イスカ | 38,500円 | 1,060g | -7℃ | 720FP 撥水ダウン | 秋の涸沢・八ヶ岳 |
エアドライト 480 | イスカ | 50,600円 | 870g | -7℃ | 770FP 超撥水ダウン | 秋山対応・高性能 |
エアドライト 290 | イスカ | 39,600円 | 530g | -1℃ | 770FP 超撥水ダウン | 夏の涸沢・槍ヶ岳・剱岳 |
UDD バッグ 380DX | ナンガ | 51,700円 | 680g | 3℃ / -2℃ | 770FP 超撥水ダウン | 万能モデル |
オーロラテックス ライト350SPDX | ナンガ | 66,000円 | 730g | -6℃ | 860FP ダウン | 高級モデル |
コーダ™ エンドレス プロミス 25/35 | ニーモ | 55,000円 | 640g | 3℃ / -2℃ | 800FP 撥水ダウン | 高山夏〜秋対応 |
ソウル™ 30/40 エンドレスプロミス | ニーモ | 38,500円 | 875g | 5℃ / 0℃ | 化繊 | 耐水性・コスパ◎ |
各モデル紹介
モンベル「シームレス ダウンハガー800 #3」
800FPダウン、撥水加工された生地を採用し、結露を防いでいます。
重量わずか531gで、価格と性能のバランスが非常に優秀。
3シーズンを通して活躍するベストセラーモデル。
モンベル「ダウンハガー650 #3」
コスパ重視のダウンモデル。重量はやや重いです。
650FPダウンを使用し、初心者やサブ用途にもおすすめ。
R値の低いマットと併用する場合でも安定した保温性があります。
モンベル「シームレス バロウバッグ #3」
中綿が化繊のため濡れに強く、結露の多い夏山で安心だが、保温性は劣る。
価格も16,500円と手に取りやすいが、重量が933gと重たい。
イスカ「アルファライト 500X」
撥水化繊モデルで、濡れに強く速乾性も高い。
夏の北アルプス程度なら十分対応可能で、コスパも抜群だが、1000gと重たい。
化繊の中では非常に完成度の高い一本です。
イスカ「ダウンプラス ポカラ X」
720FP撥水ダウンを使用。
10月には氷点下となる秋の涸沢や八ヶ岳など、冷え込みの強い時期におすすめ。
重さは我慢して、安価かつ保温性重視派には最適です。
イスカ「エアドライト 480 」
770FPの超撥水ダウンを採用。
最低使用温度-7℃ながら、重量わずか830g。安心して3シーズン使えます。
秋山や標高の高い稜線テント泊にも耐える性能です。
イスカ「エアドライト 290 」
夏しかテント泊しない人に、おすすめNo.1。
770FP超撥水ダウンを採用し、軽さ・価格・保温力のバランスが最高。
夏の涸沢・槍ヶ岳・剱岳クラスに最適で、39,600円とコスパも優秀。
ナンガ「UDD バッグ 380DX」
770FPの超撥水ダウンを採用。オーロラテックス ライト350DXよりも汎用性が高いです。
軽量・高断熱で、春〜秋の山岳テント泊に万能対応。
価格も抑えられた人気モデルですが、性能・値段でイスカのエアドライド290に軍配があがります。
ナンガ「オーロラテックス ライト350SPDX」
860FPの高級ダウンを採用。
軽さと保温力の両立に優れ、氷点下になる秋山や標高の高い稜線泊でも安心です。
価格は高いが、一生モノの一本ですが、エアドライド480の方がコストパフォーマンスよいです。
ニーモ「コーダ™ エンドレス プロミス 25/35」
800FPの撥水ダウンを使用し、夏山から秋山まで広く対応。
重量640gと軽量で、デザイン性にも優れています。
同様の性能だとイスカのエアドライド290の方が安価です。
ニーモ「ソウル™ 30/40 エンドレスプロミス」
化繊中綿を採用し、濡れに強いモデル。化繊の中で、最軽量モデルです。
耐水性生地で結露に強く、価格も3万円台と手頃。
快適性と扱いやすさを両立しています。
まとめ:寝袋は「眠りの装備」。イスカが最もコスパに優れる
テント泊では、「どんなに軽くても暖かく眠れなければ意味がない」。
その観点で見れば、イスカの撥水ダウンシリーズは非常に優秀です。
- 軽量・コスパ重視派 → イスカ エアドライト290 ショート
- 保温性・安心感重視派 → イスカ エアドライト480 ショート
夏でも、夜の山は油断大敵。
快適な眠りを守る一枚を選んで、翌日の山行を最高のコンディションで迎えましょう。
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