冬の八ヶ岳どこから登る?初心者におすすめの山と装備ガイド【保存版】

冬の八ヶ岳どこに登る? 八ヶ岳の山
冬の八ヶ岳どこに登る?
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冬の八ヶ岳へようこそ

夏が終わり、いよいよ冬山シーズンの到来です。

八ヶ岳では11月初旬から雪が降り始め、12月には一面の銀世界となります。

夏の八ヶ岳は、緑豊かな山肌に八ヶ岳ブルーの空、そして白い雲が映える美しい季節です。その光景は、登る人の心をやさしく満たしてくれます。

しかし、雪の八ヶ岳にもまた、夏とは違った特別な魅力があります。

シラビソの枝にたっぷりと積もった雪を見上げると、自然の恵みを感じます。

ふと空を仰げば、樹氷の隙間から八ヶ岳ブルーがのぞき、足もとからは雪を踏みしめる音が静かに響く──。

冬の八ヶ岳は、五感を通して自然の息づかいを感じられる場所です。

八ヶ岳は大きく「北八ヶ岳」と「南八ヶ岳」に分かれています。

北八ヶ岳は比較的穏やかで、初心者でも挑戦しやすい山域。一方、南八ヶ岳は岩場が多く、アイゼンやピッケルを駆使して登る本格的な雪山です。

これからの記事では、それぞれの山の特徴を紹介しながら、あなたが今のレベルでどの山に登れるのか判断できるように解説していきます。

この記事を最後まで読めば、雪の八ヶ岳で自分に合った山が見つかるはずです。

ただし、雪山には雪山ならではの危険が潜んでいます。無理をすれば、命に関わることもあります。

少しでも不安を感じたら、迷わずガイドツアーに参加してください。

ツアーで経験を積んでから、自分の力で登るのも立派な選択です。

焦らず、安全第一で、冬の八ヶ岳を楽しみましょう。

【注意】

登山は事前計画が大切です。事故なく楽しく登山をするために、体調面含め必要な登山用品を準備してから登りましょう。

雪の八ヶ岳・はじめての一歩

夏が終わり、いよいよ冬山シーズンの到来です。

八ヶ岳は山梨県と長野県にまたがる山々の総称で、「八」という名から八つの峰だけを想像しがちですが、実際にはそれ以上の峰が連なっています。

北から順に、蓼科山、北横岳、天狗岳、硫黄岳、横岳、赤岳、阿弥陀岳、編笠山、権現岳。

そのほかにも縞枯山、茶臼山、根石岳、双子山、西岳など、隣り合う山へついでに足を伸ばす楽しみも尽きません。

冬用の登山靴は思った以上に大切

八ヶ岳の冬は11月上旬から始まります。この頃から雪が積もりはじめ、地面は朝夕を中心に凍結します。

11月のうちは3シーズン用の登山靴でも歩ける日が多いものの、12月になれば保温材入りの冬用登山靴が安心です。

私のおすすめはAKU「ハヤツキGTX」です。

スポルティバのネパールキューブGTXを参考にしつつ日本人の足型に合う設計で、靴擦れが起きにくくコストパフォーマンスにも優れています。

北アルプスの燕岳をこの靴で登ったレビューも参考にしてみてください。

チェースパイクやアイゼンは必須

気温が氷点下になると、道が凍っているため夏山のようには登山靴のグリップが効きません。

チェーンスパイクかアイゼンの携行を強くおすすめします。

違いは爪の長さにあります。チェーンスパイクはおよそ、2センチで、うっすら凍った道に効果的です。

アイゼンは5センチ前後と長く、雪の下に隠れた氷層にも届きます。

薄い凍結ならチェーンスパイクで十分ですが、氷の上に雪が乗った斜面では爪が届かず無力です。迷うならアイゼンを持っていきましょう。

スノーシューは新雪が深いときに活躍します。しんしんと雪が降った翌朝は、一晩で30センチ、場所によっては1メートル積もることもあります。

装備がなければ底なし沼のように沈み、もがいても前に進めません。

初心者がスノーシューを楽しむなら、上高地や美ヶ原、入笠山のように平坦で雪が多いエリアが好適です。

購入よりもまずはレンタルで十分楽しめます。やまどうぐレンタル屋さんが安く貸し出してくれているので、おすすめです。

低体温症を予防する防寒着

防寒は命綱です。

11月上旬でも最低気温はマイナス一桁。行動中も着やすいアクティブインサレーションは1枚あると心強い相棒になります。

日中、陽が差す時間帯は長袖やときに半袖でも歩けるほど暖かいのに、ひとたび雲がかかったり風が吹いたりするだけで、汗が冷えて体温が一気に奪われます。

低体温症は、晴れている日ほど油断から起きます。

「天気がいいから大丈夫」は禁物。必ず十分な防寒着を用意してください。

雪の八ヶ岳は、まさに天国と地獄。

晴れて穏やかな日は、樹氷の隙間からのぞく八ヶ岳ブルーに心がふっと軽くなるような、未だかつて見たことのない景色が広がります。

けれど天気が一変すれば、たちまち視界は白く閉ざされ、気温は急降下、風が吹けば体感温度はマイナス20度に届くこともあります。

軽装や慢心は地獄の入り口。安全の基準はいつも「少し多めに、少し早めに」が合言葉です。

初心者が最初に選ぶなら、この山

ここでの「初心者」とは、雪山の三種の神器のひとつ、ピッケルを使った経験がない人のことです。

ピッケルは滑落を止めるための道具で、傾斜のある雪面で転倒すると加速して止まらなくなる前に、斜面へ素早く打ち付けて減速・停止します。

使わないで済むようなコースを選ぶのが理想ですが、道具の意味は知っておきましょう。

また、初心者が最初に登る雪山はグレーディングを参考にするといいでしょう。

体力を1~10から、難易度をA~Eから分類しています。初めての雪山は1A/Bや2A/Bの山を選ぶといいでしょう。

北横岳~雪山最初の1座に最適:1A

デビューに最適なのは、北八ヶ岳の北横岳です。南八ヶ岳の横岳とは別の山なので、混同しないように。

北八ヶ岳ロープウェイで標高2237メートルまで一気に上がり、山頂駅からは坪庭と呼ばれる広い高原を抜けていきます。

雪が積もれば一面の銀世界。そこから標高差二百五十メートルほどをゆっくり登れば、往復四時間程度で北横岳に到着します。

山頂からは南八ヶ岳の山並みや、すぐ近くの蓼科山がどんと姿を見せてくれます。

北横岳への道に、ピッケルが必須となるような急峻な場所はほぼありません。

ストックでバランスを取り、足元の状態に合わせてチェーンスパイクかアイゼンを選びましょう。

途中に分岐する三ツ岳は、雪で岩の隙間が見えにくくなるため、冬の初心者にはハードです。ここは夏にとっておくのが安全です。

なお、北横岳はツアーなしでも登れますが、この先に険しい雪山へ進みたいなら、ツアーでガイドの技術やリスク判断を学ぶのは大きな財産になります。

縞枯山と茶臼山~どちらも最初の雪山に最適:1A

縞枯山と茶臼山も、北八ヶ岳ロープウェイを使ってアプローチします。

北横岳とは反対方向へ進むと、すぐに縞枯山荘が現れ、草原の広がる見晴らしの良い場所へ出ます。ここはスノーシューでも遊べる気持ちのいいエリアです。

山名の由来になった縞枯模様――シラビソが帯状に枯れて生まれる縞――の中を歩く感覚は独特です。

縞枯山から茶臼山へは40分ほどでいくことができます。難しい道もなく、気持ちのいい稜線歩きができます。

どちらも展望が良いですが、より南八ヶ岳を近くに観たい場合は、茶臼山がおすすめです。南八ヶ岳の岩稜が迫って見えるビューポイントです。

どちらの山もチェーンスパイクで問題ない登山道です。

新雪ならスノーシュー、凍結気味ならチェーンスパイク、氷に雪が乗るようならアイゼン、と臨機応変に装備を変えていきましょう。

山頂を楽しみ、五辻へ下れば、開けた草原でまた違う冬景色に出会えます。

蓼科山~雪山の2座目におすすめ:2B

もう一歩進むなら蓼科山がおすすめです。

左右対称の優美な山容から「諏訪富士」と呼ばれ、山頂は広大な溶岩の岩塊が積み重なっています。

その端正な姿と荒々しい山頂のコントラストが、蓼科山の大きな魅力です。

登山口は蓼科山七合目(往復三時間)とすずらん峠園地(往復五時間)の二つがありますが、冬季は七合目が通行止めになるため、すずらん峠園地を利用します。

すずらん峠園地の標高は約1700メートルで、トイレも駐車場も整っており快適です。

山頂に近づくほど溶岩の岩場が増え、傾斜も強まります。アイゼンを履いて、ストックでしっかり三点支持を意識すれば、雪山の2座目として十分に手が届く山です。

晴れた日の山頂からは八ヶ岳はもちろん、南・中央・北アルプスが一望でき、槍ヶ岳の尖ったシルエットを探す楽しみもあります。

難易度は北横岳や縞枯山が1Aとされるのに対し、蓼科山は2Bです。

同じ八ヶ岳でも、登山口から山頂までの標高差が400mから800mに増える分、体力と技術がもう少しだけ求められます。

初めての雪山でいきなり蓼科山に挑むなら、ツアーに参加するのが安全です。

次の段階で出会う山たち

赤岳へ文三郎尾根を歩く

ここからは、ピッケルを使う可能性が高い、ステップアップ向けの山です。

ピッケルを使う目安として、①アイゼン前提の凍結斜面がある②森林限界を越える稜線を歩く③ストックが刺さらない硬い雪面④急な斜面やトラバースが続く⑤強風下で耐風姿勢が必要――こうした条件が揃う場合はピッケルの出番です。

ピッケルの使用基準

①アイゼン前提の凍結斜面がある

②森林限界を越える稜線を歩く

③ストックが刺さらない硬い雪面

④急な斜面やトラバースが続く⑤強風下で耐風姿勢が必要

ピッケルの出番がある山は明らかに初心者の山ではありません。中級者か上級者の山です。

では、自分は初心者の域を抜け出しているのかどうか――どう判断すればいいのでしょうか。

判断材料としては-①グレーディング2A/2Bの雪山に複数回登った経験がある②タイムコース通りに登れた③アイゼン、ピッケル、その他雪山装備を用意した④途中撤退の基準を自分の中に持っている-となります。

初心者脱出の判断基準

①グレーディング2A/2Bの雪山に複数回登った経験がある

②タイムコース通りに登れた

③アイゼン、ピッケル、その他雪山装備を用意した

④途中撤退の基準を自分の中に持っている

途中撤退の基準として-①天候、風、気温など天気予報が外れる②タイムコースより1時間以上遅れる③恐怖を感じる④寒さなど体調不良を感じる-私はこの項目を意識して判断しています。

撤退の判断基準

①天候、風、気温など天気予報が外れる

②タイムコースより1時間以上遅れる

③恐怖を感じる

④寒さなど体調不良を感じる

このような基準を元に、自分は次のステップに進めるのか判断してください。

これからは、次のステップに最適の山を紹介します。

硫黄岳~初心者からのステップアップに最適:4B

硫黄岳は北八ヶ岳と南八ヶ岳のちょうど境目にある火山で、がぱっと口を開けた巨大な火口が迫力満点です。

本沢温泉から夏沢峠へ登ると、その迫力満点の硫黄岳を眺めることができます。一方、美濃戸登山口から赤岩の頭から観る急峻な岩岳もまた違う硫黄岳の顔がみられます。

稲子湯からしらびそ小屋と本沢温泉を経るルートは行動時間5~6時間、美濃戸から北沢をたどり赤岳鉱泉へ上がるルートは4~5時間ほどで到着します。

美濃戸登山口から登ると赤岩の頭を通る必要があります。赤岩の頭直下は30~40度の急斜面で、一般に35~45度は雪崩が起きやすい斜度域とされます。

なので、本沢温泉経由の方が雪崩には遭いにくいとされています。

しかし、いずれのルートも積雪の状態を評価しながら進む必要があり、初めての冬季硫黄岳はアイゼンに加えピッケルを強くおすすめします。

硫黄岳の山頂直下の道は森林限界を超えているため、風が吹き付け積雪は多くありません。しかし、溶岩が積み重なる凍結した道を歩かなければならないので、適切な道選びと足運びが求められます。

山頂からは迫力のある赤岳や阿弥陀岳を間近で眺める事ができます。他にも南アルプスや中央アルプス、北アルプスも眺める事ができます。全方位、山に囲まれている素晴らしい山頂です。

天狗岳~硫黄岳の次の山に最適:4C

天狗岳は西天狗と東天狗の二峰からなり、二つの頂を結ぶ稜線歩きがとても気持ちのいい山です。

冬はメルヘン街道(麦草峠)が通行止めになるため、白駒池から高見石へ抜けるルートは使えません。

稲子湯からしらびそ小屋、黒百合ヒュッテを経由するのが現実的で、行動時間はおよそ5時間です。

穏やかな区間が多い反面、中山峠から山頂へは急登のトラバースが続き、一歩のミスが滑落に直結します。

両峰のコルから山頂へ上がる斜面も風を強く受けるため、アイゼンとピッケルは実質必須です。体力度は硫黄岳と同じ3でも、天狗岳の技術度はCとされています。

夏の様子ですが、難度は一段上に感じられるはずです。

赤岳~憧れの1座、だけど上級者向け:4C

八ヶ岳の最高峰・赤岳は標高2899メートルです。グレーディングでは天狗岳と変わらないように記載されています。

しかし、どちらも登った事がある私としては、「本当かな?」と疑問に思います。

雪の天狗岳と雪の赤岳、どちらが緊張感のある山行かと問われたら、躊躇なく赤岳と答えます。

赤岳は雪をまとってなお切り立つ岩稜は、遠目にも人を寄せつけない気配をまといます。

厳冬期は路面が氷化し、ピッケルとアイゼンを駆使して登る本格ルートに変貌します。

文三郎尾根のトラバースは斜度35~40度で、積雪と天候次第では表層雪崩のリスクも無視できません。

こちらのブログに雪崩の判断基準を記載していますので、ご確認ください。

地蔵尾根も同様に鎖場や岩場、山頂直下の急斜面も滑落必至です。

毎年死傷者が出る山です。それだけ危険な山と言うわけです。

数日前からの天気と雪質の流れを読み、撤退も含めた選択肢を常に握っておくことが必要な山です。雪山一年目での単独挑戦はおすすめしません。

挑むなら、経験を積み、かつ有資格ガイドに同行してもらうのが最短で安全な道です。

阿弥陀岳~赤岳と同等の難易度を持つ1座:4C

阿弥陀岳も赤岳と同様に上級者向けです。

赤岳と阿弥陀岳、どちらが難しいですかと問われると正直悩みます。天候や雪の付き方で難易度が変わるのが雪山だからです。

同じ状況とした時、難易度は赤岳よりも阿弥陀岳の方が高いと思います。それは途中に山荘がないからです。

途中に山荘がないということは、誰にも頼れないという事です。例えば、水や食料、トイレなど自分が担いだ物が全てです。

途中で枯渇したら、補給ができないので撤退です。言葉では簡単ですが、山にいると簡単に撤退を決めることができません。

「あともう少し」「これぐらい大丈夫」という感情が判断を邪魔します。

この悪魔のささやきを振り払い、ぶれなく判断をしなけれななりません。

そういう意味で、数字以上に難易度の高い山だと思います。

そのこのブログを見ればわかると思います。参考にしてください。

舟山十字路から御小屋尾根をたどると、不動清水を過ぎたあたりから、雪をまとう阿弥陀岳がぐっと近づきます。

展望台から山頂までの斜面は強く、アイゼンとピッケルがなければ登りも下りも苦戦します。

実際、ストックだけでは凍った雪面に確実な安定をつくりにくく、頼りなさを痛感しました。中岳道から阿弥陀に入る場合も、雪崩地形が点在します。過去に何度も雪崩が起きている場所です。

天気図と実地の雪質を読み合わせ、慎重に判断してください。

危険の多い山ですが、山頂から眺める赤岳・横岳・硫黄岳の迫力は忘れがたく、「また見たい」と心から思わせる景色でした。

阿弥陀岳を扱うツアーは多くありませんが、石井スポーツなどの催行を探してみる価値はあります。

おわりに ― 焦らず、確実に

迷ったら、装備は“少し重め”が正解です。引き返す判断は敗北ではなく、生還の技術。

不安が少しでも残るなら、迷わずガイドツアーを選んでください。

ツアーで積んだ経験は、あなた自身の力となって、冬の八ヶ岳をもっと自由に、もっと安全に楽しませてくれます。

五感で冬を味わい、心に残る一日を。雪の八ヶ岳で会いましょう。

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